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メールマガジン「週刊KU-MA」 第43号          [2009.4.29]


■目次

(1)YMコラム
     「アルキメデスのひらめき」

(2)ワンダフル宇宙
     「ロシアの月ミッション「ルナ・グローブ」」

(3)宇宙関連ニュース「宇宙茫茫」

■YMコラム(43) 2009年4月29日

アルキメデスのひらめき

 1980年に地中海のギリシャ・アンティキラ島付近で、2000年前の沈没船 が発見されました。その積荷の中にブロンズ製の歯車の一部分があり、目 盛りや約2000の文字が刻まれていました。これが、古代ギリシャ人によっ て作られた世界最古の歯車式アナログコンピュータであることが判明しま した。1958年、ケンブリッジ大学のデレク・プライス教授がこれを厳密に 復元し、30個以上の歯車を組み合わせた時計仕掛けになっており、太陽や 月などの天体の運行を非常に精確に表示できる機械であることが判明した のです。とても2000年前のものとは思えない技術的完成度でした。そこで 当初は、これがかの天才アルキメデスの製作したものに違いないと思われ たのでした。確かなことは分かりませんが、まあそれぐらいアルキメデス という人は素晴らしかったということでしょう。

 彼の最も有名なエピソードは、例の「アルキメデスの原理」です。彼の 故郷シラクサ(シチリア島)の王ヒエロン2世は、ある金細工師に純金を 渡し、自分の戴冠式のために王冠を作らせました。見事な王冠ができて来 たのですが、どうも輝きが乏しく「あれは純金ではなく合金ではないか」 という噂が立ったのでした。この悪評が王の耳に入ったため、王は当代随 一の科学技術者と評判のアルキメデスに、「純金か合金か判断せよ」と命 じたのです。ただし、あの一休さんへの難問「蓋をとらないで味噌汁のお 代わりをくれ」みたいに、「王冠を壊さないで判断しろ」というので、さ すがの天才アルキメデスも困りはてました。

 思案に暮れていたある日、疲れ切ったアルキメデスは自宅の風呂の湯船 に浸かっていました。浴槽から溢れて流れ出る水を見ていた天才の頭に、 稲妻にようなひらめきが光りました。彼は、「エウレーカ! エウレーカ! (見つけたぞ)」と叫びながら、服を着ることも忘れて家を飛び出し、全 速力で近くの王宮に駆け込んだのでした。「王様、問題は解けました!  すぐに出直して来ますから」と言い置いて、自宅に戻って行ったそうです。

 アルキメデスは、風呂で閃いたアイディアを確かなものにするため、す ぐに実験を開始しました。まず自分の体重を助手に計らせました。次に水 が一杯一杯入っている湯船に入り、溢れ出た水の重さを量りました。そし て風呂に入ったままの自分の体重を再び計りました。結果は、彼の予想通 り、自分の体重の軽くなった分(浮力)が風呂から溢れ出た水の重さに等し かったのです。こうして、素っ裸のアルキメデスによって「浮力の原理」 が発見されたのでした。

 そして王宮に戻ったアルキメデスは、王の前で次のような実験をしまし た。ここの部分は、あまり詳しく書いてない本が多いのですが、実に見事 なのできちんとストーリーを述べておきます。

(1)まずアルキメデスは、王が細工師に与えた純金と同じ重さの純金塊を用意しました。

(2)次に、水桶に水を満たし、純金塊を水中に沈めて、その重さを計りました。(1)と(2)の差が、王冠が純金だけであった場合の浮力(A)ですね。

(3)さらに、純金の一部を銀に置き換えていき、重さを純金と同じにしました。

(4)そして再び水桶に水を満たし、(3)の塊を水中に沈めて、その重さを計りました。

(3)と(4)の差が、この金と銀との混合物に働く浮力(B)ですね。

(5)最後に、重さが純金塊に等しい純銀の塊を水中に沈めて重さを計りました。これで、王冠が純銀だけであった場合の浮力(C)が分かりますね。

さて、この実験の結果、BはCとAの中間の値になることが示されました。

 金と銀の密度を比較すると、金は17.9 g/cm3、銀は7.9 g/cm3です。銀 の方がかなり密度が小さいですね。だから、同じ重さならば銀の方が体積 は2.266倍も大きくなります。ということは水中ではそれだけ浮力が大き くなるわけです。アルキメデスは、金と銀の合金では、合金の体積(した がって浮力)は必ず純金よりも大きく、純銀よりも小さくなることに目を つけたわけです。

 さあ、いよいよ問題の王冠を水に完全に沈めました。王様も見ています。 その浮力を計りました。すると、その浮力の大きさは、金だけでできてい る時の浮力(A)と銀だけでできている場合の浮力(C)の中間の値(B) に限りなく近い値になったのです。こうしてアルキメデスは、王冠が純金 製でないこと、記録によれば、その合金比率が約10%であることを証明し たのでした。つまり細工師は10分の1の金塊をだまし取ったことが、科学 的に示されたのです。その場で怒りを爆発させた王様は、罪を認めた金細 工師を宮廷侮辱罪で処刑したそうです。

 この話を私が小学校時代に聞いた時、先生に「水につかっている自分の 体重や金塊、銀塊、王冠の重さをどうやって計ったのですか?」と先生に 質問したのですが、その時は納得のいく答えはもらえませんでした。家に 帰ってから兄貴に訊ねたら、いつものように「そんなことは自分で調べろ」 と。結局父の本棚にあった百科事典の挿絵から、どうも天秤を使ったらし いことが分かったのは、それから数日後のことでした。

 http://en.wikipedia.org/wiki/Archimedes

 素っ裸で風呂を飛び出したことばかりが有名なエピソードの中身は、以 上のような次第でした。公園で素っ裸になって逮捕された人がいましたが、 アルキメデスは逮捕されなかったのですね。当時のギリシャには、「公然 わいせつ罪」は無かったのでしょうかね。もっとも彼は酒を飲んではいな かったようですが・・・。

 後日譚があります。金細工師の処刑後、彼の仕事場から、アルキメデス が計算した通りの重さの金塊が発見されたそうです。アルキメデスが示し た定量実験は、まことにお見事ですね。これこそ、その1800年後に、ガリ レオ・ガリレイが完成させ、近代科学の方法の基礎に据えたものでした。

(YM)

■ワンダフル宇宙(43) 2009年4月29日

ロシアの月ミッション「ルナ・グローブ」

 ロシアは、1960年代から1980年代にかけて」精力的に月や惑星に探査機 を送り続けました。最後に成功したミッションは、1984年にバイコヌール を飛び立った2機のハレー彗星探査機でした。金星経由でハレーに向かっ たので、“Venera-Halley”、ロシア語で「ヴェニェーラ・ガリー」略し て「ヴェガ」と命名されました。しかし月に向かったミッションで成功を 収めたのは、1976年8月に月面に軟着陸して土壌サンプルを地球に持ち帰 ったルナ24号が最後です。

 財政的な困難のために途絶えていた月探査機を久しぶりに打ち上げよう と意欲を燃やしているロシアです。とりあえず2012年の打上げをめざして いるのは「ルナ・グローブ」─アポロ11号と12号の着陸地点に日本製のペ ネトレーターを打ち込もうとしています。また同じミッションでランダー を軟着陸させようともしているのです。

 「ルナ・グローブ」の製作は、ラヴォーチキン社が担当しています。ラ ンダーは、月の南極のクレーターに落とされ、月のクレーターに水の氷を 見つけようとしており、ペネトレーターに搭載した地震計は月のコア(芯) の大きさなどを研究する予定です。このペネトレーターは、日本の「ルナ ーA」というミッションのために開発されてきたもので、苦労の末に開発 が完了したタイミングで、残念ながらミッション中止の憂き目に会いまし た。ロシアからの熱心な要請により、「ルナ・グローブ」に載せることが できる運びになったものです。日本で開発に関わった人たちの努力が報わ れそうで、本当によかったですね。

 「ルナ・グローブ」は、来る6月2日にアトラス5ロケットで打ち上げら れる予定の、アメリカのLRO(ルナー・リコネイサンス・オービター) に次ぐ月ミッションとなっています。LROの方は、LCROSS(月ク レーター観測衛星)と呼ばれる衝突ミッションも搭載しています。

 http://www.ku-ma.or.jp/img/090429-01.jpg

 ロシアが発表している「ルナ・グローブ」のイラストが2枚あります。 1枚のイラストには、8本のペネトレーターが上向き4本、下向き4本つ いており、最上部に球形のランダーが逆推進エンジンと一緒に描かれてい ます。

 http://www.ku-ma.or.jp/img/090429-02.jpg

 もう1枚のイラストは、下向きのペネトレーターをどのように切り離す かが図示されており、これにはランダーがついていません。察するに、ペ ネトレーターを落とす前にランダーの方は分離しているという想定なので しょう。

 http://www.ku-ma.or.jp/img/090429-03.jpg

 今のところ、ロシアとしては2012年の打上げを動かすつもりはないよう ですが、ランダーやペネトレーターに関連する事柄で若干の変更があるか もしれないと推測されていますが、実はロシアのランダーは、「ルナ・グ ローブ」の後で、インドの月ミッションにも搭載される計画があり、これ が2012年から2013年くらいに計画されているので、微妙な国際問題を含ん でいますね。

 ところで、ペネトレーターが月の内部を研究することは、月がどうやっ てできたのかということと深い関わりがあるのです。現在最も人気がある と聞いているのは、地球ができたての頃に火星ぐらいの大きさの天体がぶ つかって、そこから飛び出した物質が地球を回りながら固まっていって月 になったという「衝突分裂説」(ジャイアント・インパクト)という考え 方らしいです。ところが、ロシアでは、できたての月がたまたま地球の近 くに来てその重力に捕らえられて地球を周回するようになったという考え を支持する人も多くて、それをこの「ルナ・グローブ」のペネトレーター で実証したいわけです。

 アポロ11号の飛行士が月面に設置した地震計は太陽電池が電源になって おり、3週間ぐらいしか稼動しませんでした。これに対し、アポロ12号の 地震計は原子力電池を使ったので、1977年あたりまで長生きしました。そ れは14号から17号までと同様です。これらアポロの地震計は、1969年から 1977年までに30回くらいの地震を感知し記録しました。これらとの比較研 究がどのようになされていくか、楽しみではありますね。

 なお、ロシアの火星ミッションについても、多少厄介な話題があります が、それはまたいずれご紹介することにしましょう。

■宇宙茫茫ヘッドライン

【090427-01】 インド、PSLVによるRISAT-2とANUSATの打上げ成功
【090427-02】 Sea Launch、Zenit-3SLによるイタリアの衛星SICRAL 1Bの打上げ成功
【090427-03】 中国、長征2号Cによるリモセン衛星“遙感六號”の打上げ成功
【090427-04】 NASAの火星ローバSpiritに幾つかの異変発生
【090427-05】 NASA、STS-125 Atlantisの打上げターゲット日を1日早めて5月11日に
【090427-06】 5月初めの打上げ予定・・・6日に予定のESAのHerschel/Planckは延期
【090427-07】 JAXA/MHI、150秒間のH-IIBの第1段のCFTを無事終了
【090427-08】 SpaceX、軌道変更・姿勢制御用スラスタ“Draco”の確性試験終了
【090427-09】 ESA、Frank De WinneのISS長期滞在ミッション“OasISS”のロゴを発表
【090427-10】 第6回宇宙開発戦略専門調査会(4月3日)の配付資料
【090427-11】 NASAとNSBIR、宇宙飛行士の健康と能力に関した研究課題12件採択
【090427-12】 ESA、大学院生の論文関連の航空機による微小重力実験テーマ募集
【090427-13】 ISSへの民間輸送手段調達の業者選定へのPlanetSpaceの異議申立却下
【090427-14】 NASAの技術の日常生活への貢献・・・投票結果とサイトリニューアル情報
【090427-15】 ビジネスプランのコンテストと軌道上微小重力実験テーマのコンテスト終了
【090427-16】 名古屋のベンチャー企業、JAXAを含めた共同開発体で有人宇宙機開発
【090427-17】 Saturn Vの1/10のサイズの“ホビーロケット”の打上げに成功
【090427-18】 JAXAのウェブサイト内の注目記事へのリンク

【090427-01】(関連記事:【090413-04】)
インド、PSLVによるRISAT-2とANUSATの打上げ成功

 4月20日、インド宇宙研究機関(ISRO)はスリハリコタの射場から極軌道 衛星打上げロケット(PSLV)によって、インド初の全天候型の地表画像取得 用衛星RISAT-2と通信実験用の衛星ANUSATの打上げを行い、所期の軌道へ の投入に成功した。

 RISAT-2は合成開口レーダーを装備した質量300kgの衛星で、イスラエル 航空工業(Israel Aerospace Industries:IAI)製、一方、ANUSATはアンナ (Anna)大学の学生が製作した600mm立方で質量40kgのマイクロ衛星で、共 に高度550km、軌道傾斜41度の軌道に投入された。

 今回の打上げはPSLVにとって15回目の打ち上げで、1994年の初成功から 14回の連続打上げ成功である。

 http://www.isro.org/pressrelease/Apr20_2009.htm

【090427-02】(関連記事:【090413-04】)
Sea Launch、Zenit-3SLによるイタリアの衛星SICRAL 1Bの打上げ成功

 4月20日、Sea Launch は、西経154度の赤道上の海上からZenit-3SLによ りTelespazioとの間で打上げ契約を結んでいるイタリア国防省の通信衛星 SICRAL 1Bの打上げを行い、所期の軌道への投入に成功した。

 SICRAL 1BはThales Alenia Space製の質量3,038kgの衛星であり、東経 11.8度に静止予定で、イタリア軍関係の通信に供される他、NATO軍及び同 盟国の通信に供される。

 なお、今回の打上げでは、ロケットの能力に対して衛星が軽めであった ことから、通常の静止軌道への遷移軌道よりも近地点が高い軌道への投入 が可能で、投入した軌道は、8,605km×35,665kmとなっている。

 http://www.sea-launch.com/news_releases/2009/nr_090420.html

【090427-03】
中国、長征2号Cによるリモセン衛星“遙感六號”の打上げ成功

 4月22日、中国は山西省の太原衛星発射センタから長征2号Cによるリモ ートセンシング衛星 “遙感6号”(Yaogan-6)の打上げを行い、所期の軌道 への投入に成功した。

 遙感6号は中国航天科技集団公司所属の上海航天技術研究院製で、遙感1 号から5号までと同じく、科学探査、国土資源調査、農作物の作柄調査、 防災等に用いられる。

 http://news.xinhuanet.com/english/2009-04/22/content_11231715.htm

【090427-04】
NASAの火星ローバSpiritに幾つかの異変発生

 4月24日付けのNASAのジェット推進研究所(JPL)発行の火星ローバのステ ータスレポートによると、2004年の初め以来、当初の予定を遙かに超えて 火星の探査を続けているSpiritとOpportunityの2基のローバのうちSpirit にここのところ異変が続いている。

 約2週間前に、地上との通信開始のコマンドに応答せず、“目覚めない” 状態が、連続して3回起こったのがここのところの連続異変の始まりであ った。

 その後、1日の活動の記録を地上に送るのに備えてデータを電源を落と しても消えないフラッシュメモリーに書き込むことが旨く行かなくなると いう現象(amnesia:記憶喪失)が、最初は1月15日に生じ、その後4月17日 までの2週間に3回生じている。

 更に、搭載コンピュータの再起動が自動的に行われてしまうという現象 が4月11日、12日及び18日に起こっている。18日の再起動の後にコンピュ ータは地上からのコマンドを受け付けない自律モードに切り替わっている。

 運用に当たっているJPLの専門家は、以上の3つの現象の間に因果関係は 無いと見ており、個々に確認を行いながら様子を見ている状況となってい る。

 これまでに、コンピュータの設定を地上からのコマンドを受ける様に変 更すること、ハイゲインアンテナが地上からのコマンドに正しく応答する ことの確認、電力系統及び熱制御系統には問題の無いこと等の確認を済ま せており、4月23日には、4月8日以来初めてとなる車輪を動かす移動のコ マンドを送り、無事に1.7m動いたことを確認している。

 今後も暫く様子見をしながら、原因究明の検討が続くことになるが、フ ラッシュメモリーへの書き込みが欠落することに備えて、1日の活動の記 録はランダムアクセスメモリー(RAM)にストアすることとし、これまで1日 の活動が終わってから、地上にデータを送るまでの間に電力を節約するた めに電源を落とすこととしていたが、電源を落とすとRAMにストアしたデ ータが消えてしまうので、電力節約のための休止を1日の活動開始前に行 うことに変更している。

 なお、Opportunityの方は健全で、現在これまでに近付いたことのある クレーターの20倍もあるクレーターに向かって移動中で、21日に96m、22 日に137m、23日に95mと順調に進んでいる。

 http://www.jpl.nasa.gov/news/news.cfm?release=2009-074

【090427-05】(関連記事:【090406-05】)
NASA、STS-125 Atlantisの打上げターゲット日を1日早めて5月11日に

 4月23日、NASAはハッブル宇宙望遠鏡(HST)のメンテナンスに向かうSTS- 125ミッションAtlantisの打上げのターゲット日を5月12日から1日早めて 11日とすることを明らかにした。

 この決定は、打上げ時にロケットからのテレメータデータの受信、ロケ ットの追尾及び飛行安全オペレーションを行う空軍が管轄するEastern Test Range(ETR)が5月14日からケープカナベラル空軍基地が予定している オペ-レーションに対応するためにスペースシャトルの打上げをサポート できない状況となり、次の打上げ機会が22日とならざるを得ないことから、 13日までに1日でも多く打上げ機会を確保しようとの考えに基づくもので ある。

 NASAが行った1日早めることの可否判断では、ハッブル宇宙望遠鏡の新 しいバッテリの充電時間が209時間から185時間に減るが、これは最低限必 要とされている156時間を上回っているので問題は無いとの判断を下し、 その他の打上げ準備作業も1日早い打上げへの対応は可能としている。

 Atlantisの打上げが5月22日以降となった場合には、Atlantisの帰還に よって救援ミッションのための待機が解けて、射点39Bから39Aに移されて STS-127ミッションとして打上げ準備を継続するEndeavourの現在の計画通 りの6月13日の打上げは難しく、更に6月21日以降7月11日までは、ISSの軌 道面と太陽光線の成す角度の制限から、シャトルのISSとのドッキングが 禁じられている状況(beta angle cutout)になり、Endeavourの打上げが7 月中旬となる公算が大となる。

 http://www.spaceflightnow.com/shuttle/sts125/090424newdate/

【090427-06】
5月初めの打上げ予定…6日に予定のESAのHerschel/Planckは延期

 4月26日現在で明らかにされている5月初めのロケットの打上げ予定は以 下の通り。

 5月5日に、バンデンバーグからUnited Launch Alliance(ULA)のDelta 2 による 米国のMissile Defense AgencyのミッションであるSpace Track- ing and Surveillance System Advanced Technology Risk Reduction (STSS-ATRR)。

 同じく5日に、米国バージニア州のワロップス島のMid-Atlantic Regio- nal SpaceportからOrbital SciencesのMinotaur 1による、 米空軍研究所 (AFRL)のTacSat 3とNASAのナノ衛星PharmaSat。

 http://www.nasa.gov/centers/ames/news/releases/2009/M09-44.html

 7日に、カザフスタンのバイコヌールからロシアのSoyuzによるISSへの 物資補給船Progress。

 6日に予定されていた(関連記事:【090413-05】)Ariane 5によるESAの Herschel/Planckの打上げは4月20日の時点で新たにロケットの点検が必要 となり、延期されている。

 http://news.yahoo.com/s/ap/20090420/ap_on_re_eu/eu_france_space_delay;_ylt=Ah5ZZHOmZZp_Z4fw8KAZLyWHgsgF

【090427-07】(関連記事:【090406-08】)
JAXA/MHI、150秒間のH-IIBの第1段のCFTを無事終了

 4月22日、JAXAと三菱重工業(株)(MHI)は種子島宇宙センタ大型ロケット 発射場第2射点において、2回目のH-IIBロケット第1段実機型タンクステー ジ燃焼試験(CFT)を行い、所期の150秒間の燃焼試験を良好に終了したこと を明らかにした。

 今回のCFTでは、実機タンクでのタンク加圧特性の最終確認及び燃焼試 験中の機体各部の振動等環境データの取得等が行われた。

 なお、この試験は当初4月20日に予定されていたが、天候不良で延期さ れていたもの。

 http://www.jaxa.jp/press/2009/04/20090422_cft_j.html

【090427-08】(関連記事:【081215-08】)
SpaceX、軌道変更・姿勢制御用スラスタ“Draco”の確性試験終了

 4月23日、Space Exploration Technologies Corp. (SpaceX)は、宇宙機 の軌道変更、姿勢制御に用いる小型のスラスタ“Draco”の確性試験が終 了したことを明らかにした。

 Dracoは燃料にモノメチルヒドラジン、酸化剤に四酸化二窒素を用いた 推力40kgfクラスのエンジンで、SpaceXが開発している宇宙船Dragonでは このエンジンを18基装備する計画となっている。

 これまでの試験の回数は42回で、真空をシミュレートした状態で長さの 違うパルス燃焼を4,600回行い、トータルの燃焼時間は単一のスラスタで 50分に達している。

 http://www.spacex.com/press.php?page=20090423-2

【090427-09】(関連記事:【090209-07】)
ESA、Frank De WinneのISS長期滞在ミッション“OasISS”のロゴを発表

 4月23日、ESAは、先に名称を公募で決めたISSに長期滞在するESAの宇宙 飛行士のFrank De Winneのミッション“OasISS”のロゴを発表した。

 De Winneは2009年5月27日にSoyuzでISSに向かい、6ヶ月間ISSに滞在す る予定で、滞在後期の10月には欧州人として初のISSのコマンダーになる 予定となっている。

 ロゴは、ISSのクルーが見た地球を1つの水滴で表し、ISSの上に立つ人 物の腕から広がる樹の枝で生命にとっての水の大切さを表している。

 軌道を描いているロケットは、De Winne等を打ち上げるSoyuzで、輝く 星はいつか人類の宇宙探査が他の惑星に人を送り込むであろうことを象徴 している。

 http://www.esa.int/SPECIALS/OasISS_Mission/SEMDUHANJTF_0.html

【090427-10】(関連記事:【081201-09】)
第6回宇宙開発戦略専門調査会(4月3日)の配付資料

 4月20日、政府の宇宙開発戦略本部の宇宙開発戦略専門調査会は4月3日 に開催した第6回宇宙開発戦略専門調査会の配付資料を公開した。

 http://www.soranokai.jp/images/newsletter160.pdf

 宇宙開発戦略本部では、5月末には我が国の今後5年間の宇宙基本計画策 定を行うべく作業を進めており、近々、広くパブリックコメントを求める 予定としている。

 この状況下で、4月22日付けの産経ニュースは、政府がJAXAを現在の文 部科学省の所管から内閣府に移管する方針を固め、宇宙基本計画に盛り込 み、2010年度からの実施を目指していると報じている。

 http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090422/stt0904222024007-n1.htm

【090427-11】
NASAとNSBIR、宇宙飛行士の健康と能力に関した研究課題12件採択

 4月20日、NASAのHuman Research ProgramとNational Space Biomedical Research Institute(NSBRI)は将来の宇宙探査ミッションの際の宇宙飛行 士の健康と作業の遂行能力に関した問題の研究に関する課題公募の審査結 果として12件の提案を選定したことを明らかにした。

 2008年8月からの募集に対して、2次審査に残った54件の中からの選定で、 12件のうち、5件がNASAの、残りの7件がNSBIRの選定という形を採ってい る。これ等の研究には今後3年乃至4年の間に総額1,600万ドルの資金が提 供される。

 http://www.nasa.gov/home/hqnews/2009/apr/HQ_09-086_NSBRI_Health_Studies.html

【090427-12】
ESA、大学院生の論文関連の航空機による微小重力実験テーマ募集

 4月22日、ESAの教育局は、“Fly Your Thesis!”のタイトルの下で欧州 の大学院生を対象とした、修士論文或いは博士論文のテーマに関連した航 空機による微小重力模擬環境での実験の提案を募集することを明らかにし た。

 応募の期限は2009年6月22日で、その後選考が行われ、Airbus A300 Zero -G機でのパラボラ飛行による微小重力模擬環境での実験の実施は、2010年 の秋となる。

 選考委員会で最大で20チームを先ず選び、その後、選ばれた各チームは 詳細な提案書をESAの支援を得ながら作成し、特別のワークショップでの 発表で最終評価が行われて、最大で4チームが選ばれることとなっている。

 選定されたチームには、ESAの専門家の支援、実験装置の費用の一部、 実験に参加するための旅費と宿泊費が支給される。実験機会としては1回 のフライトで20秒間の微小重力状態を30回繰り返すフライトが3回提供さ れる。

 http://www.esa.int/esaCP/SEM9FTEH1TF_index_0.html

【090427-13】(関連記事:【090119-09】)
ISSへの民間輸送手段調達の業者選定へのPlanetSpaceの異議申立却下

 4月24日、米国議会の調査機関であるGovernment Accountability Office (GAO)は、PlanetSpaceがNASAが行ったISSへの民間輸送手段(Commercial Resupply Services:CRS)の調達に関する業者選定に関して申し立てた異 議を却下したことを明らかにした。

 PlanetSpaceとしては、この日から8日の間にGAOに対して再考を求める ことはできるが、再考を求めることは一般的には稀なことである。

 NASAでは1月14日の異議申し立てを受けて、選定したSpace Exploration Technologies (SpaceX)及びOrbital Sciences Corp.の2社との契約締結を 保留させられており、今回の異議の却下が確定すれば、契約締結に向けて の動きが取れることとなる。

 なお、NASAの業者選定に名乗りを上げたPlanetSpaceのチームにはこれ までの米国のロケット大手のLockheed Martin、Alliant Techsystems (ATK)、Boeingの3社が加わっていた。

 http://www.bizjournals.com/denver/stories/2009/04/20/daily90.html

【090427-14】(関連記事:【090420-14】)
NASAの技術の日常生活への貢献…投票結果とサイトリニューアル情報

 4月22日、NASAは“Earth Day”に合わせて、21日まで行っていたウェブ 上でのこれまでにNASAが地球の探求と地球上での生活の向上のために成し 遂げた最も大きな成果は何であったかを決めるための投票の結果を明らか にした。トップの座は気象や環境関係を抑えてGPSによる測位機能の確立 を支えた技術が占めた。

 投票は、NASAが候補として選定した10件の地球に関連する成果の中から 1人で3件までを選んで投票する方式で行われ、投票結果は以下の通りであ った。( )内は得票数。

1. Finding Your Way with GPS (3280)
2. Diagnosing Our Ailing Ozone Layer (2408)
3. From Storm-Spotting to Next Week's Weather (2313)
4. Warming and Rising Seas (1443)
5. Global Reach of Air Pollution (1321)
6. Ice Sheets on the Move (1151)
7. It's a Big Green World (1102) 
8. Predicting Feast or Famine (856)
9. A Lively Water World (631)
10. Ultimate Home Energy Audit (543)

 なお、3.は、JAXAが開発したセンサーも搭載されている熱帯降雨観測衛 星“TRMM”による観測が対象となっている。

 http://www.nasa.gov/topics/earth/earthday/greatest_hits.html

 また、この日NASAはNASAが開発した技術が如何に日常生活に役立ってい るかをインタラクティブな形で知ることができるサイトをリニューアルし た。

 “NASA at Home”と“NASA City”の2つのサイトで(入り口はNASA@HOME AND CITY)、それぞれ家庭の中と街中で目にする物にNASAの技術がどの様 に関係しているかをマウスの操作で知ることができる様になっている。 (注:NASA@HOME AND CITYのサイトでは、右上の“AUDIO”ボタンで、音を 消すことができる。)

 http://www.nasa.gov/home/hqnews/2009/apr/HQ_09-087_City_Home_Feature.html

【090427-15】(関連記事:【090126-16】【090126-17】)
ビジネスプランのコンテストと軌道上微小重力実験テーマのコンテスト終了

 4月18日、米国テキサス州のライス大学では、大学内に設けられている 起業家教育及び支援の機関であるRice Alliance for Technology & En- trepreneurship (Rice Alliance)が主催して16日から3日間に亘って行わ れていたRice Business Plan Competition(RBPC)及び、別途4月17日に行 われたMicrogravity Research Competitionの表彰式が700人以上が参加し た晩餐会の場で行われた。

 RBPCは、大学対抗の形を取った大学院レベルのビジネスプランを競うコ ンテストで、今年は42チームが200人を超える審査員の前でのプレゼンテ ーションで競い合い、総額800,000ドルの賞金獲得を目指した。

 賞金は様々な名目で様々なスポンサーから出されており、今回は3チー ムが総額125,000ドル以上を獲得しており、額に差はあるが、42チーム全 てが何某かの賞金を得ている。また、賞金以外にビジネスプランの実現に 必要なオフィスの貸与や資産管理の支援、ビジネスサービス等の賞がある。 (個々の賞を獲得したチーム名と金額等は省略する。)

 NASAは、2008年からライフサイエンス関係の優秀なビジネスプランの提 案者に対する20,000ドルの賞金(NASA Earth/Space Life Sciences Inno- vation Award)を出していたが、今回、宇宙に関係する技術の商業化のビ ジネスプランの提案者に対して20,000ドルずつ3件の賞金(NASA Earth/Sp- ace Engineering Innovation Prizes)を追加し、合計で80,000ドルの賞金 を出した。

 http://www.alliance.rice.edu/alliance/RBPC.asp?SnID=1375247303

 Microgravity Research Competitionは宇宙空間の商業利用の拡大を支 援する非営利の団体Heinlein Prize TrustとSpace Exploration Techno- logies(SpaceX)がスポンサーとなり、運営にはRice Allianceが当たった 大学レベルを対象としたコンテストで、微小重力環境を利用した研究課 題の提案を競った。最終選考に残った3チームの中で、最優秀賞の25,000 ドルの賞金と、SpaceXの新しい宇宙機Dragonによる軌道上での実験機会 を獲得したのは、テキサス大学のチームであった。

 http://www.heinleinprize.com/news/microgravity4.html

【090427-16】
名古屋のベンチャー企業、JAXAを含めた共同開発体で有人宇宙機開発

 4月20日に日刊工業新聞が報じたところによると、名古屋市にあるベン チャー企業PDエアロスペース(株)は、JAXAや筑波大学などの7者と共同 開発体を結成して、有人宇宙機の本格開発に乗り出す。

 共同開発体への参加者は、同社及びJAXA、筑波大学の他、名古屋大学、 九州工業大学、秋田産業技術総合研究センタ、IHIエアロスペース・エ ンジニアリング、自動車・航空機部品試作メーカーの(有)CASTで、2013年 初めを目処に試作機を製作し、2014年中に有人宇宙機の完成を目指すとし ている。

 開発を目指している有人宇宙機はパルスデトネーションエンジンを搭載 したロケットを用いた2段式の機体で、高度100kmまでの弾道飛行を当面の 目標としている。

 開発の分担は、筑波大(笠原研究室)がエンジン、名大と(有)CASTが機体、 九州工大が飛行制御、IHIエアロスペース・エンジニアリングが設計、 秋田産業技術総合研究センタが試作、JAXAが評価を担当するとしてい る。

 http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0420090420aaac.html

【090427-17】
Saturn Vの1/10のサイズの“ホビーロケット”の打上げに成功

 4月25日、米国メリーランド州プライス(Price)の400エーカーの農場か ら1機のロケットが打ち上げられ、ギネスブックに載る結果を残した。

 51歳の工学教育を受けたことのない自動車修理工のSteve Evesが2年掛 けて製作した40年前のSaturn Vを忠実に1/10のサイズに縮小した長さ約 11m、質量約750kgの“ホビーロケット”の打上げに成功したもの。これま でに打上げに成功したホビーロケットで最大のものである。細部にこだわ り、エンジンは実際の数と同じ9基としている。

 ロケットは約10秒間の燃焼後、発射から約20秒で高度約1,350mに達し、 最高点でパラシュートを開き、発射から約2分30秒で予想着地地点の近く に着地した。機体は4枚のフィンでしっかり支えられて垂直の状態で着地 しており、殆ど損傷を受けていない。500kgを超えるホビーロケットが無 傷で回収されたのは初めてのことであった。なお、打上げには5,000人ほ どの見物人が集まった。

 http://www.ohio.com/news/43699912.html

 http://www.ohio.com/multimedia/photo_galleries/viewer?galID=43701142&storyID=43699912

【090427-18】
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