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メールマガジン「週刊KU-MA」 第64号          [2009.9.23]


■目次

(1)YMコラム
     「漢字と宇宙のコラボに参加して」

(2)ワンダフル宇宙
     「「火星の中緯度」と「月の極以外の場所」に水の氷を発見か?」

(3)宇宙関連ニュース「宇宙茫茫」

■YMコラム

 漢字と宇宙のコラボに参加して

 「音楽と宇宙」とか「絵画と宇宙」という催しは参加したことがありま す。しかし「漢字と宇宙」という試みは記憶にありませんね。さる9月2 1日(月)、東京・文京区シビック大ホールで、東京漢字探検隊という人 たちの主催した「宇宙(そら)と日本人(わたしたち)」という講演会が ありました。前半はこのタイトルで私が話をし、後半では京都の白川静記 念東洋文字文化研究所の久保裕之さんが、宇宙とか空に関係する漢字の説 明をしてくれました。「こんなテーマで来る人がいるんだろうか」と疑心 暗鬼でしたが、300人ぐらいの人たち(ほとんどが親子連れ)が集まっ たのには驚きました。

 紀元前2世紀、前漢の武帝のころに編纂された思想書に、「往古来今謂 宙之四方上下謂宇之」とあります。読み下せば、「往古来今これを宙とい い、四方上下これを宇という」です。つまり、「宙」は過去から未来に向 かって流れる時間をすべてひっくるめて表す文字で、「宇」は上下前後左 右すべての空間を表す文字だということです。『淮南子』によれば、この 解字は、もともとは『尸子(しし)』という書物に出てくるものらしいの ですが、要するに「宇宙」とは「空間と時間」「時空」“Time and Space” なのですね。

 この辺までは寡聞な私も知っていたのですが、久保さんはさらにこの 「宇宙」の字を分解してその成り立ちを説明してくれました。ちょっとワ ープロソフトとメルマガという限界があって、それを十分に説明できない のが残念ですが、肝腎なのは、「宇宙」というものが持つ多面的な要素に 、このたび新たに(私の心の中に)「漢字」が加わったということです。 常々「宇宙教育とは、宇宙の多面性が多彩な子どもの心と響き合うこと」 などと偉そうに言っている割には、こんな側面の大切さのレベルに初めて 気がつきました。「漢字もさることながら、これはいろいろとやらなけれ ばならないことが出てきたなあ」というのが、そこからしばし思索しなが ら敷衍した実感です。

 以前「倭と和」について書いたことがあります。

 むかしお隣の中国まで命がけで「ご挨拶」に行ったこの列島に住んでい る人たちは、自分たちのことを「わ」と言っていたようです。まだこの列 島に文字というもののなかった時代です。あの国の人たちに比べて背が低 かったのかどうかは不明ですが、大陸の人たちは、自分のことを「わ」と 称しているその人たちに「倭」という字を当てはめました。たとえば『魏 志倭人伝』は、中国の「魏」の時代の歴史に記された「倭」という地方の 人たちについての記述です。背とは関係ないのかもしれません。「あのち っぽけな地域の連中」というような意味でしょうね。でも要するに「蔑称」 であることは間違いないでしょう。

 有難くこの字を頂戴した人たちは、やがて漢字を本格的に輸入して使い こなす過程で、最初のうちは自分たちの国のことを「倭」と書いていまし た。あの「邪馬台国」が直接「やまと」に通じるのかどうかという話にな ると微妙ですが、「倭」の字はしばらくは「やまと」の意味に使っていた のでしょう。毛利家にのこされている写本に『古今倭歌集』の文字を見つ けた話も、いつか書いた覚えがあります。

 そしてどこの時点でしょうか、この国に、漢字の意味を十分に理解し、 矜持の心もふんだんに有する人がいて、この国を表す字を、音だけ残して 「倭」から「和」に置き換えました。しかも「大」の字まで付けて。いわ く「大和」。戦艦大和の建造ドックを故郷に持つ私としては、今となって は「戦艦倭」では何ともしまりがないので、この「倭」から「和」への転 換は、まさに天才的な発想だったように見えます。なお、「日本」という 言い方が登場するのは、歴史家の人たちの考証によれば、おそらく7世紀。 天武の時代ではないかということです。

 このたびの経験から、あらためて調べてみました。

 まず「倭」。言うまでもなく、ニンベン(人)と「委」を組み合わせて います。漢和辞典によれば、もっと分解すると、「禾」は稲穂などにも象 徴されるように「垂れる穂」という意味を持ち、「女」が「素直」という 意味を持つので、「倭」全体として「従順な人」を表現しています。また 「矮小」の「矮」と音が通じて、「背の低い人」という意味に通じていま す。私が牽いてみたすべての辞書が、「倭」の字の意として、@「やまと」 と読んで「日本国」の意、A道が曲がりくねって遠い様子、Bみにくい、 という3つを挙げています。

 異論はあるでしょう。素直でない女だっているだろうし、もともと女が 素直という言い方は女性蔑視だ、とか。背は低い人を「みにくい」につな げるのは差別だ、とか。そもそも「委員」が「従順な人」ばかりの集団な ら、世の中こんなにもめないだろう、とか。お説ごもっともですが、上に 概括したのは漢和辞典なので、ご容赦いただきたいと思います。

 次に「和」。「禾」は上記のとおりですが、「口」と合わさっています。 総じて「和」は、声を合わせて歌うことを表すとともに、「やわらぐ」 「なごやか」の意味となるといいます。もともと「禾」という字は、「ク ヮ」という発音らしく、音が「加」と通じて「加える」という意味を持つ ので、「和」は、一つの声に対して、さらに声が加わることで、人の声に あわせるという意味を持たせているそうです。

 来週は、この「和」を、日本人の特質とからめて、再び論じることにし ましょう。「いのちの大切さ」と「日本人の独創性」と「日本の世界への 貢献」を語りましょう。

YM

■ワンダフル宇宙

 「火星の中緯度」と「月の極以外の場所」に水の氷を発見か?

 火星と月にほとんど時期を同じくして水の氷を確認するなんて……。面 白いタイミングでの快挙です。科学雑誌“Science”の9月25日号に寄せら れた論文で明らかにされました。

 まず月。前にこのメールマガジンでも書きましたが、昨年10月にインド が打ち上げた月探査機「チャンドラヤーン」にアメリカのM3(Moon Mine- ralogy Mapper)というNASAの機器が積まれています。月の鉱物資源の分 布を調べるこの機器が、このたびの事件の発端を作りました。そのM3が、 月の表面の全面に渡って水があるみたいだという証拠をつかんだのです。 チャンドラヤーンは、さる8月に突如交信を絶つまで10カ月働いていたわ けですが、これに積んだM3という機器は、水を含む鉱物があった場合の光 の吸収具合を、その反射光から推定することができます。

 でも水以外には考えられないという反射光のデータを前にして、M3のチ ームは、「こんなところに水があるはずがない」というので、あれこれ思 い悩んでいました。だってこれまでは、月の極地方にある「永久影」をも つクレーターの内部にだけ水があるという信念に近いものを、みんなが共 有していたからです。思い余って、M3の科学者たちは、過去に月面を調べ た探査機のデータを、担当の科学者たちの力も借りてひも解いてみました。 一つは、土星への途上で1999年に月のそばを通った「カッシニ」、もう一 つは、「ディープ・インパクト」がテンペル第一彗星との衝突ミッション を終え、「エポキシ」と名前を変えて、ハートレー彗星に向かう途中で20 09年6月に月の脇を通過した際のデータです。

 するとどうでしょう。どちらの探査機のデータも、やはり水分子や水酸 基の存在を示唆していることが判明したのです。当時は、極地方以外に水 が存在するはずがないと思い込んでいたために、「何かの間違いだ」とい うことで真面目には検討されなかったもののようです。土星探査機「カッ シニ」の分光計のデータは、月の(ほとんどは極地方に、一部分は低緯度 地帯に)水分子ないし水酸基の存在を示しています。またこれとは別に、 「ディープ・インパクト」の赤外線観測の機器は、月の全面に渡って水の 存在を示唆しているではありませんか。

 ただし、「水」といっても、海や湖があるとか、大きな水たまりみたい なものがあるとか言うのではありません。水が分子とか水酸基(OH)のか たちで、月の表面近くで岩石やダストの分子とつなげっている状態を指し ています。だから、そこから水を引きだしたとしても、その量は、野球場 いっぱいの土壌を集めても、やっとグラス一杯の水を得るくらいのもので す。

 半信半疑だった科学者たちも、ようやく確信が持てるようになり、この たびの論文発表にこぎつけました。なぜ永久陰でない所に水分子や水酸基 があるのか? 彼らが考えていることを紹介しておきましょう。図1です。

 http://www.ku-ma.or.jp/img/wonda090928-01.jpg

太陽からやってきた陽子(水素の原子核)が月面をヒットすると、月面物 質の中から酸素を解放し、これと陽子が結びついて水ができるというシナ リオです。高温では、この水は宇宙へ逃げますが、低温なら地表に蓄積さ れるという筋書きです。

 「ディープ・インパクト」はまた、この水の話について、もっと劇的か もしれないデータも提供しています。昼間でも日没とか日の出のころの寒 い時間帯には、水がもっと活発に作られては消えて行っているのではない かというのです。これが真実なら、永久陰の水の源と考えられてきた彗星 衝突以外にも、水の供給源があるということになりますね。つまり、この 太陽からやってきた陽子が、光速の3分の1ほどの猛スピードで月面を叩い て創りだした水が、永久陰に入り込めば、それはそのままそこに定着して しまうことになりますからね。

 M3チームの一人が言っています。「3週間前なら、月面のこんなになん でもない所に水があるなんて口にしたら、みんなから笑いものにされるの がオチだったろうよ」。これらのデータや仮説を裏付けるために、現在LRO (Lunar Reconnaissance Orbiter:ルナー・リコネイサンス・オービター) が精力的に活動をしていますし、来る10月9日には、LCROSSというプロー ブが月の南極のクレーター(図2)に突入して激突し、

 http://www.ku-ma.or.jp/img/wonda090928-02.jpg

その様子から、水の存在に関わる貴重なデータがもたらされるはずです。 アポロ以来語られ続け、信じられ続けた「不毛で潤いのない月の大地」と いう描像が、これからどのように塗り替えられて行くのか、実に楽しみで すね。

 これらの論文に出ている月の水は、大気がなくて重力の小さい環境でも 安定になるように、鉱物と結合したかたちで存在しているようです。だか ら私たちが地球上で井戸の水を組み上げるような具合にはいきません。扱 うには、月の土壌をかなり大量に集め、その中から水を抽出して溜めてお いて使うかたちになるのでしょう。何しろ月の土壌(レゴリス)を1トン 集めて、やっと水1リットルしかとれないのですから。いずれにしろ、科 学的にはもちろんのこと、将来月面で生活することがあるとすれば、現地 に水があるのと無いのとでは大違い。一挙に「月での生活」に現実味が増 してきますね。

 特に、このような月の水(の氷)が月面全体に渡ってあまねく存在して いるらしいというのですから素晴らしいです。もし水がたくさん抽出でき れば、その中の酸素は人間が呼吸するのに活用できるし、水を分解して得 る水素と酸素はロケットの燃料にも使えますからね。夢も広がって行きま すね。

 さてこの“Science”には、「火星の氷」についての発見も報告されて います。比較的最近の隕石衝突でできたらしい火星表面の5つのクレータ ーに水の氷を見つけたというのです。アメリカの火星周回衛星MRO(Mars Reconnaissance Orbiter:マーズ・リコネイサンス・オービター)に搭載 されたHiRISEカメラのお手柄です。

 ある時間に撮影した写真では黒々としていたクレーターの底に、ある時 間帯に突然明るい塊が現れました(図3)。

 http://www.ku-ma.or.jp/img/wonda090928-03.jpg

この写真のクレーターは2008年1月26日の時点では存在していなかったも ので、その直後のどこかで8 mくらいの大きさの隕石が衝突したと考えら れます。この写真は2008年11月1日に撮られたもので、一辺が50 mほどの 視野です。しかもこの氷は99%という純度だというから驚きです。綺麗な 氷でしょう。南極観測隊の人たちが持って帰ってくれた何万年前かの氷で 飲ったウィスキーを思い出しますねえ。

 時系列に沿って並んだ(図4)の連続写真。これもMROの撮ったもので す。

 http://www.ku-ma.or.jp/img/wonda090928-04.jpg

 これを見ると、途中で明らかにクレーターの内部の表面近くに水の氷と 思われる物質の塊が輝き始めています。そして次いでそれが蒸発(昇華) して黒ずんだ土の色になってしまっています。以前に火星の極地方で水の 氷を「フェニックス」というローバーが見つけていますが、今回は中緯度 地帯なのが注目されます。月の地下からしみ出た水が、いったん地表に顔 を出し、火星の寒く希薄な大気のために昇華してしまう現象ですね。いず れにしろ、太陽に照らされている火星表面に一時的にせよ水の氷を見つけ たという事実は、非常に興味をそそられますね。

 実はこの場所は、1975年9月に打ち上げられたNASAの火星探査機ヴァイ キング2号機のランダー(着陸機)が土壌を掘って生物がいるかどうかを 調べた場所の近くなのです。NASAによれば、「ヴァイキング2のランダー がもう10 cmぐらい深く掘っていれば、その時に水(の氷)が発見されて いたかもしれない」と残念がっています。

 最近の火星表面の様子(図5)から、火星は今から1万年くらい前はもっ と湿度が高かったらしいと推定されており、またまた「火星に生命を感じ る」時代が、はっきりと始まっているような気がしますが、いかがでしょ うか? 

 http://www.ku-ma.or.jp/img/wonda090928-05.jpg

 さあ、日本でもこれから、「はやぶさ」の帰還が控えているし、金星探 査機PLANET-Cの発進、ソーラー・エレクトリック・セイルIKAROSの打上げ、 水星探査機BepiColomboなど、次々と太陽系空間への旅立ちが続きます。 太陽系探査の興味が尽きないですね。

(YM)

■宇宙茫茫ヘッドライン

【090921-01】 HTVのISSとのドッキング成功
【090921-02】 ロシア、Soyuz 2.1bによる久し振りの気象衛星Meteor-Mの打上げ成功
【090921-03】 ILS、Proton Breeze MによるカナダのTelesatのNimiq 5の打上げ成功
【090921-04】 NASAのLRO、高度50kmの月の極軌道上での定常運用に移行
【090921-05】 NASA、火星ローバSpiritの救出に努力するもかなり難しいとの見解表明
【090921-06】 NASA、ISSへの最終便となるSTS-133のクルーを発表
【090921-07】 NASAとCNES、宇宙科学・地球科学ミッションでの協力で合意
【090921-08】 NASA、シャトルの記念となる品物の博物館等への放出の準備開始
【090921-09】 米空軍、今後24ヶ月間に重要な衛星の打上げ6基
【090921-10】 米空軍、EELV (Atlas VとDelta IV)の調達方法の変更を検討
【090921-11】 Orbital Sciences、Minotaur Vの初号機でNASAのLADEEを打上げ
【090921-12】 通信衛星運用4社、米で打上げロケットの選択肢拡大を目指す連合結成
【090921-13】 中国、海南島で新しい射場の起工式を挙行
【090921-14】 中国、宇宙飛行士候補者の第1次選考終了…男性30人・女性15人
【090921-15】 中国、パキスタンの衛星製造に融資…製造・打上げは中国が受注
【090921-16】 ESA、衛星からの3Dテレビジョンの実験放送に協力
【090921-17】 JAXAのウェブサイト内の注目記事へのリンク

【090921-01】(関連記事:【090914-01】)
HTVのISSとのドッキング成功

9月18日10:49JSTに、JAXAが9月11日に打ち上げたHTV技術実証機(以下、 HTV)のISSとの結合が完了し、翌19日の03:23にはHTVの補給キャリア与圧 部のハッチが開けられ、クルーが入室した。

結合の完了はISS側からHTVへの電力及び通信ラインの接続作業が完了し た時点とされており、これより6時間ほど前の18日04:51にHTVはISSのロ ボットアーム(SSRMS)により把持され、07:26にはISSのHarmony(第2結合 部)に取り付けられ、その後、ボルトの結合、Harmony側のハッチの開放、 電力及び通信ラインの接続が行われた。

HTVの打上げ後に行われた運用実証試験の結果等の評価が15日に開催さ れたISSのミッション管理会議(Mission Management Team:MMT)で行われ、 この時点で、HTVのISSへの最終接近運用が承認された。

その後の運用は、概略以下の通り;

* 17日09:04に第1回高度調整マヌーバを実施し、遠地点高度324km、近 地点高度305kmの軌道に移行。

* 17日10:59にISS後方5kmの接近開始(Approach Initiation:AI)点に到達。

* 18日00:31にAI点を出発し、01:38にISS下方500mのRバー開始(R-bar Initiation:RI)点に到達。そのまま RI点からランデブセンサ(Rend- ezvous Sensor:RVS)を用いて徐々にISSに接近し、01:48には300m下 方のホールドポイント(HP)に到着。

* 02:55にHPを出発し03:44にISS下方30mのパーキングポイント(PP)に 到着。

* 04:05にPPを出発し、04:27にISSの下方10mのバーシングポイント(BP) に到着。ISSに対して相対的に停止したことが確認され、HTVのスラスタ が停止された。

 http://www.jaxa.jp/press/2009/09/20090918_htv_j.html

【090921-02】
ロシア、Soyuz 2.1bによる久し振りの気象衛星Meteor-Mの打上げ成功

9月17日、ロシア連邦宇宙局はバイコヌールからSoyuz 2.1bにより、気 象衛星Meteor-Mの打上げを行い、所期の高度830kmの太陽同期軌道への投 入に成功した。打上げは当初15日に予定されていたが、天候不順で1日延 期され、更に技術的問題が生じて1日延期されたもの。

Meteor-Mは質量2,700kgで初めて“Severyanin-M”と称されるセンチメ ートル波を用いたレーダを搭載しており、天候と時間に関係なく観測を行 うことができる。なお、設計寿命は5年とされている。

ロシアでは2003年に運用中の気象衛星がデータ伝送機器の不具合のため に運用停止に追い込まれて以来、自前の気象衛 星を持っていない状態が続いていたが、漸く欧州や米国の衛星のデータに 頼らないで済むことになった。この状態を確実にするために、近い内にMe- teor-Mの2号機を打ち上げる予定としている。

この打上げでは、以下の5基の衛星が相乗りで打ち上げられた。

* 南アフリカのステレンボッシュ(Stellenbosch)大学が開発した地球観測 衛星SumbandilaSat

* 国際的な探査救助衛星システムCOSPAS-SARSATに加わるSterkhシリーズ の2基目の衛星

* レーザを用いた軌道決定手法の開発に用いられるサッカーボール大のガ ラスで覆われた球体BRITS

* 大学生が製作した技術試験目的の2基の衛星、Tatyana 2とUgatuSat

 http://en.rian.ru/science/20090917/156164853.html

 http://www.spaceflightnow.com/news/n0909/17soyuz/

【090921-03】
ILS、Proton Breeze MによるカナダのTelesatのNimiq 5の打上げ成功

9月17日、International Launch Services (ILS)は、バイコヌールから Proton Breeze MによりカナダのTelesatの衛星Nimiq 5の打上げを行い所 期の静止トランスファ軌道への投入に成功した。なお、この打上げは同じ バイコヌールからSoyuz 2.1bの打上げが行われた3時間24分後に行われて いる。

Nimiq 5はSpace Systems/LoralのLS1300プラットフォームをベースとし た衛星で、設計寿命は15年とされている。32本のKuバンドのトランスポン ダを搭載しており、カナダ、米国のBell TV及びDish Networkの契約者に 対する高解像度のTV放送に用いられる。

 http://www.ilslaunch.com/news-091809

【090921-04】
NASAのLRO、高度50kmの月の極軌道上での定常運用に移行

9月17日、NASAは月を周回中のLunar Reconnaissance Orbiter (LRO)の 運用試験及びキャリブレーションが終了し本来の目的であるマッピングの ための高度50kmの極軌道に移行したことを明らかにした。

LROは既に月の南極付近のこれまでにない詳細な地図の作成に向けて成 果を上げているが、計画では今後1年間に亘りこの低い極軌道上からのデ ータ収集を行うこととされている。

収集したデータを用いて資源探査及び安全な着陸地点の選定の役に立つ 高精度の全球の地図を作成することを目指している。更に、低高度から月 面の温度と放射レベルを測定する。

 http://www.nasa.gov/home/hqnews/2009/sep/HQ_09-215_LRO_First_Light.html

【090921-05】(関連記事:【090831-05】)
NASA、火星ローバSpiritの救出に努力するもかなり難しいとの見解表明

9月14日にNASAのジェット推進研究所(JPL)は、5月以来火星の柔らかい 砂に捉えられているSpiritの救出手段の検討を進めてきているが、これま でに行った種々の地上でのシミュレーション試験の結果をコンピュータに よる詳細なモデルを用いて検証した結果、救出はかなり難しいとの理解が 深まったことを明らかにした。

コンピュータによるモデリングによって、地球の重力下での試験結果か ら、火星の重力下ではどの様な動きになるかを推定した結果として得られ た見解である。

今後更に救出のための最善の手段を考え、JPLの施設でその手段の完全 なリハーサルを行って、Spiritに送るコマンドを決定するとしているが、 リハーサルとその後の検討に数週間は掛かると見られている。

 http://www.jpl.nasa.gov/news/news.cfm?release=2009-140

【090921-06】
NASA、ISSへの最終便となるSTS-133のクルーを発表

9月18日、NASAはISSへ向かう最後のスペースシャトルミッションSTS-133 のクルーを明らかにした。

STS-133は2010年9月16日に打ち上げるとされているEndeavourによるミ ッションで、主たる目的はISSへのExpress Logistics Carrier 4及びスペ アパーツの輸送である。なお、このミッションより先に2010年7月29日に はSTS-134ミッションが打ち上げられることとなっている。

STS-133のコマンダーはベテランのSteven W. Lindsey、パイロットは Eric A. Boe、ミッションスペシャリストはBenjamin Alvin Drew, Jr.、 Michael R. Barratt、Timothy L. Kopra及びNicole P. Stott.である。

Lindseyは、シャトルのパイロットとコマンダーをそれぞれ2回ずつ務め たベテランで、現在はNASAの宇宙飛行士オフィスの長を務めているが、10 月からSTS-133ミッションに向けての訓練に入るので、その職をPeggy A. Whitsonに譲る。

BoeとDrewは2度目のシャトル搭乗となる。

BarrattはISSの第19次/20次長期滞在クルーとして現在ISSに滞在中で10 月に帰還予定である。

KopraはISSに第20次長期滞在クルーとして滞在し、9月11日に帰還した ところである。

StottはISSの第20次/21次長期滞在クルーとして現在ISSに滞在中で11月 に帰還予定である。

 http://www.nasa.gov/home/hqnews/2009/sep/HQ_09-218_STS-133_Crew.html

【090921-07】
NASAとCNES、宇宙科学・地球科学ミッションでの協力で合意

9月18日NASAは、Bolden長官とフランス国立宇宙研究センタ(CNES)の d'Escatha長官により宇宙科学及び地球科学関係のミッションでの米仏間 の協力に関する以下の内容の4件の合意書の署名が行われたことを明らか にした。

2013年に打上げ予定のNASAのMars Atmosphere and Volatile EvolutioN (MAVEN)ミッションではCNESがSolar Wind Electron Analyzerを提供する。

2014年に打上げ予定のNASAのMagnetospheric MultiScaleミッションで はCNESが観測機器の一部を提供する。

2006年12月に打ち上げられたCNESの系外惑星の発見と星の内部の謎を探 るための探査を行うConvection Rotation and Planetary Transits (COROT) ミッションでは、ハワイのマウナケア山頂にあるケック望遠鏡によるNASA に与えられた観測時間の中での地上からのフォローアップ観測と引き替え に、探査機での観測結果の解析に米国の科学者が参加する。

2016年にNASAが打上げを計画しているSurface Water and Ocean Topo- graphy(SWOT)ミッションでの協力可能な分野の検討と明確化の実施。

 http://www.nasa.gov/home/hqnews/2009/sep/HQ_09-216_CNES_Agreement.html

【090921-08】
NASA、シャトルの記念となる品物の博物館等への放出の準備開始

9月14日、NASAはスペースシャトルプログラムの終了に向けての動きの 一つとして、同プログラムの記念となる品物(artifacts)を、教育機関や 博物館での展示のために放出する方針を示し、希望を募るためのウェブサ イトを開設することを明らかにした。このウェブサイトの運用にはGene- ral Services Administrationが協力する。

希望する機関は、登録をして、その的確性を認めて貰う必要があるが、 ウェブサイト上に順次90日の期限付きで公開される品目について、取得希 望を申し出ることができる。希望が重なった場合には選定が行われること となるが、選定方法については明らかにされていない。なお、このウェブ サイト上での公開の前に、国立航空宇宙博物館及び各地のNASAのビジター センタでの展示の要否が検討され、そちらの要請が優先されることになっ ている。

最初は数百点のリストからスタートするが、順次付け加えて、最終的に は展示に値するもの全て…大物から小物まで…がアップされる予定。希望 者への引き渡しは、その品物がプログラム遂行上不要となった時点で順次 行っていくとしている。

品物は無償で引き渡されるが、輸送コスト及び展示コストは受け取り側 の負担であり、展示に際しては、機微な技術又は製造上の情報へのアクセ スの制限が課せられ、また、全ての品物が輸出管理令の制約を受ける。

 http://www.nasa.gov/home/hqnews/2009/sep/HQ_09-211_Shuttle_Artifacts.html

【090921-09】
米空軍、今後24ヶ月間に重要な衛星の打上げ6基

9月18日にカリフォルニア州パサデナで開かれていたAIAA SPACE 2009に おいて、米空軍の宇宙ミサイルシステムセンタのJohn Sheridan司令は、 米空軍は今後24ヶ月以内に新しい6つの宇宙システムの構築のための打上 げを行うという冷戦時代の1960年代以来の画期的な状況を迎えていると語 った。

2009年10月にバンデンバーグからAtlas Vにより気象衛星Defense Mete- orological Satellite Programの衛星DMAP F18を打ち上げる。

10月31日にはバンデンバーグから遅れていたMinotaur IVの初めての打 上げで静止軌道の高度近辺で、衛星或いは宇宙デブリを光学望遠鏡で捉え ることを目的としたSpace-Based Space Surveillance (SBSS)用の衛星を 打ち上げる。

11月中旬にはケープカナベラルからDelta IVによりWideband Global SATCOM (WGS)のBlock IIの3基目の衛星WGS-6を打ち上げる。この衛星には オーストラリア政府も出資している。

2010年5月10日にはケープカナベラルからAtlas VによりGPS衛星の新し い2Fシリーズの初めての衛星を打ち上げる予定。

2010年の夏から秋の間に、次世代の超高周波数通信衛星Advanced Ext- remely High Frequency(AEHF)システムの初号機を打ち上げる予定。

2010年末か2011年の初めに、ミサイル発射の早期警戒及びミサイル防衛、 情報収集、戦闘空間の状況把握等の広い目的に用いられる衛星システム Space-Based Infrared System (SBIRS)の静止軌道上の最初の衛星SBIRS- GEO 1を打ち上げる予定。

 http://www.aviationweek.com/aw/generic/story.jsp?id=news/INTENSE091809.xml
 &headline=USAF%20Readies%20For%20Multiple%20Launches&channel=defense


【090921-10】
米空軍、EELV (Atlas VとDelta IV)の調達方法の変更を検討

9月18日にSpacenews.comが伝えるところによると、米空軍は、United Launch Alliance (ULA)からのEvolved Expendable Launch Vehicle (EELV) …Atlas VとDelta IV…の調達方法の変更を検討している。

現在のEELVの調達は、打ち上げる衛星が決まるとそれに合わせてロケッ トの製造と打上げサービスをセットにしたEELV Launch Services契約を締 結する形であるが、これをロケットのまとめ買いに切り替えようというも の。

ロケットをまとめ買いすることでコスト削減が図れると共に、衛星の製 造に遅れが生じた場合にもフレキシブルに対応でき、限られた射場での限 られた打上げ機会を有効に生かすことができるとしている。

また、米空軍は、この2機種の生産ラインをキープする目的で結んでい るEELV Launch Capability契約が、2006年12月にBoeingとLockheed Mar- tinが両社の使い捨てロケット部門を統合してULAを設立する前に両社と個 別に結んだ契約のままとなっているので、その見直しについても検討して いる。

 http://www.spacenews.com/launch/air-force-moving-toward-block-purchases-eelv-launchers.htm

【090921-11】
Orbital Sciences、Minotaur Vの初号機でNASAのLADEEを打上げ

9月14日、Orbital Sciences Corp.は、米空軍との間のOrbital/Subor- bital Program-2の契約の一環(契約上のオプションの適用)として、NASA の衛星をMinotaur Vの初号機で打ち上げることを明らかにした。

打ち上げる衛星は、月の大気と月の表面から舞い上がる塵の情報を集め ることを目的としたLunar Atmosphere and Dust Environment Explorer (LADEE)で、打上げは2012年にワロップス島の打上げ施設から行われる予 定となっている。

Minotaur Vは米空軍の3段式のミサイルPeacekeeperをベースとした5段 式のロケットで、4段目と5段目には既存の固体ロケットモータStar 48と Star 37が用いられており、静止トランスファ軌道へ650kg、月へ向かう軌 道へ400kgの打上げ能力を有する。

今回の決定で、OrbitalのMinotaurシリーズのロケットの1997年のプロ グラムスタート以来の打上げ契約はサブオービタル飛行を含めて28件(そ の内16件は打上げ済み)となった。

 http://www.orbital.com/NewsInfo/release.asp?prid=704

【090921-12】
通信衛星運用4社、米で打上げロケットの選択肢拡大を目指す連合結成

9月16日、米国を対象とした通信衛星運用を行っている代表的な4社が競 争力のある打上げサービス提供企業を求める連合“Coalition for Compe- titive Launches”を結成したことが明らかにされた。

EchoStar、Intelsat、SES及びTelesatの4社が、米議会上院の軍事委員 会の委員長を務めた元上院議員で軍事及び国家安全保障の専門家と目され ているJohn W. Warnerの指導の下に動き出したもので、現在ロシアとフラ ンスに席巻されている商業衛星打上げサービス事業の国際的競争の高まり を求める活動を行うとしている。

現在米国の衛星運用会社にとって問題なのは、United Launch Alliance ができたことで、AtlasとDeltaの間の競争がなくなり、且つ、その2機種 は殆どが政府機関の打上げに供されており、商業打上げを行う余地がない こと及び、世界的に見て最も信頼性の高いロケットの一つと言える中国の ロケットによる米国製部品を用いた衛星の打上げが禁止されていることで ある。

この様な状況の中で、今回の連合は自由な、且つ安価な宇宙へのアクセ スのために、米国政府が懸念する機微な衛星技術の流出問題に配慮しつつ、 打上げロケットの選択肢の拡大のために米国の政策の転換をも求める活動 を行う。

 http://www.businesswire.com/portal/site/google/?ndmViewId=news_view
 &newsId=20090916005445&newsLang=en


【090921-13】
中国、海南島で新しい射場の起工式を挙行

9月14日、中国の南部の海南島の海南省文昌市において、新しい海南衛 星発射センタの起工式が行われた。2013年の完成を目指している。

この衛星発射センタの建設準備作業には既に2007年10月末から手が着け られており、今回の起工式で工事が本格化することになる。

中国には現在、酒泉(東経99度54分、北緯40度36分)、太原(東経112度36 分、北緯37度30分)、西昌(東経102度、北緯28度15分)の3ヵ所の衛星発射 センタがあるが、海南島はこれらより南(東経109度30分、北緯19度)に位 置しており、静止衛星等の東方に向けての打上げには有利な射場となる。

 http://news.xinhuanet.com/english/2009-09/14/content_12048773.htm

【090921-14】(関連記事:【090323-13】)
中国、宇宙飛行士候補者の第1次選考終了…男性30人・女性15人

9月17日、中国は第3回目(実質上は第2回目)の宇宙飛行士選別の第1次選 考結果を明らかにした。

第1次選考に残ったのは男性30人、女性15人の合計45人で、全員が空軍 のパイロットで、平均年齢は30歳となっている。男性は戦闘機、女性は輸 送機のパイロットであるとされている。

当局では、男性5人、女性2人を最終的に宇宙飛行士の候補者として選定 し、訓練に入る予定としている。なお、中国で女性が宇宙飛行士の候補者 となるのは初めてである。

 http://news.xinhuanet.com/english/2009-09/17/content_12067927.htm

【090921-15】
中国、パキスタンの衛星製造に融資…製造・打上げは中国が受注

9月19日、パキスタンのイスラマバードで、中国がパキスタンの通信衛 星の製造に2億ドルの融資を行うことを定めた合意書の署名が行われた。

対象となる衛星はPakSat 1Rで、この衛星の設計、製造、最終組立と試 験及び打上げは、中国長城工業総公司(CGWIC)が請け負っている(関連記 事:【081020-12】)。

打上げは長征3Bにより2011年に行われる予定で、現在稼働中で2011年に 寿命を迎えるPakSat 1と置き換えられる予定となっている。

 http://en.rian.ru/world/20090919/156183706.html

【090921-16】
ESA、衛星からの3Dテレビジョンの実験放送に協力

9月16日、ESAは欧州で始まった3Dテレビジョンの一般家庭等への衛星か らの配信実験への協力状況について明らかにした。

欧州での継続的な3Dチャンネルの配信実験は2009年3月12日から始まっ ており、東経9度に静止しているEurobird 9Aから送られてくる電波を受け るサイトが何ヵ所か設けられている。これらのサイトは家庭での長時間番 組を受信する状態を模擬したものと短いコンテンツの受信が中心のパブリ ックビューイングの模擬とに別れている。

ESAではAdvanced Research in Telecommunications Systems (ARTES)プ ログラムの一環として“Stereoscopic Broadcasting”プロジェクトに取 り組んでおり、オランダにある欧州宇宙研究技術センタ(ESTEC)内に家庭 での受信を模擬したサイトを設けている。

 http://www.esa.int/esaCP/SEMBMLFWNZF_index_0.html

【090921-17】
JAXAのウェブサイト内の注目記事へのリンク

9/14ALOS第3回研究公募
9/14温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)の初期校正の完了について
9/14〜未来へ羽ばたく中部の航空宇宙産業〜「第39回JAXAタウンミーティング」 in 名古屋の開催について
9/14宇宙科学の最前線:「すざく」がとらえた宇宙で一番熱いガス
9/14準天頂衛星システム プロトフライト試験開始
9/15ISS・きぼうウィークリーニュース第354号
9/16スペシャルインタビュー「宇宙に開け、巨大アンテナ〜きく8号・リスクを予知したプロマネ魂〜」
9/16技術試験衛星VIII型「きく8号」成果・利用シンポジウムの開催について〜聞く、見る、感じる 成果の軌跡 利用の未来〜
9/16 地球が見える:徳川家康の敗走とピアノ発祥の町、浜松
9/18「だいち」によるイタリア森林火災の緊急観測結果
9/18SEDA-APの初期機能確認の完了と定常運用への移行について
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