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メールマガジン「週刊KU-MA」 第69号          [2009.10.28]


■目次

(1)ワンダフル宇宙
     「世界初の船出へ――太陽光で進む宇宙帆船「イカロス」」

(2)宇宙関連ニュース「宇宙茫茫」


■ワンダフル宇宙

 世界初の船出へ――太陽光で進む宇宙帆船「イカロス」

 洋上で風を受けて大海原を進むヨットのように、巨大な帆を掲げて惑星 間空間を飛翔する探査機が、史上初めて実現する。JAXA(宇宙航空研究開 発機構)が来年の6月に種子島宇宙センターからH-IIAロケットで打ち上 げる「イカロス」だ。金星探査機「あかつき」と一緒に発射される(図1)。

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 ヨットでは、帆を押すのは風だが、「イカロス」の場合は太陽の光であ る。太陽の光に物を押す力があるなんてご存知だっただろうか。実は、宇 宙の好きなみなさんは、すでにテレビでその実例をご覧になったはずであ る。そう、2003年5月に打ち上げられ、2005年11月に小惑星イトカワに着 陸・離陸した探査機「はやぶさ」だ(図2)。

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 「はやぶさ」が、わずか500 mくらいの小さな天体イトカワに「降下」 を試み、何度か試行錯誤を繰り返しながら、やっと着陸に成功した経過は、 テレビ等でハラハラドキドキしながら「観戦」された人も多かろう。その 際、重力がとても小さいイトカワは、「はやぶさ」をその引力で引き寄せ てはくれない。「はやぶさ」は背後に必ず太陽が存在しているように制御 され、その太陽の光が押す力によって、イトカワに「降下」して行ったの である。

 そしてサンプル採取のプロセスでトラブルが続出し、姿勢制御装置はそ のほとんどが働かなくなってしまった。燃料も漏れてしまい、帰還が絶望 視されたところに、登場したのが太陽光の力である。その力をうまく利用 して姿勢制御することに成功し、現在イオンエンジンの助けを借りながら、 来年6月の地球帰還を目指している(図3)。太陽光には押す力があると いう見事な実例である。

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 ただし、押す力が小さいことから、この力は地上からの打上げには使え ない。いったん軌道に乗り、大気の抵抗のない場所でシコシコと時間をか けて増速する際に威力を発揮するわけである。

 もう一つ実例を話そう。2006年に打ち上げた気象衛星「ひまわり7号」 である。これは赤道上空約3万6000 kmを周回する静止衛星なので、周りに はもう大気はほとんど無いに等しい。しかしそれだけ太陽光の力の影響は 顕著に現れてくる。そもそも人工衛星は、高度800 kmより高いところだと、 薄くなっている大気の抵抗よりも、太陽の光の力の方が大きくなるのであ る。だから、高高度を飛ぶ衛星には、太陽光の力への対策が不可決となる。

 「ひまわり7号」には、本体から大きな片翼の太陽電池パネルが広がっ ているが、このパネルが太陽光の力も受けるため、そのままではバランス が悪くなってしまい、しょっちゅう姿勢を維持するために燃料を大量に使 わなくてはいけなくなる。そこで、このパネルとバランスをとるように、 巨大な円錐形の「帆」を取り付けたのである(図4)。

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 太陽の光がピーンと張りつめた帆に当たると跳ね返る。そのときにわず かながら力を与える。しかしその押す力はとても弱いので、「イカロス」 では、14 m四方の巨大な帆を宇宙で広げ、たくさんの光を受けるようにな っている(図5)。

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 こんなに大きな帆をひろげても、帆全体で受ける太陽光の力は、1円玉 に働く重力の10分の1に過ぎない。しかし「塵も積もれば山となる」―― 小さい力でも、続けて長時間にわたって押し続けると、普通のロケットで 一挙に力を加えるのと同じ、あるいはそれ以上の効果を探査機に与えるこ とができる。

 このようにして太陽系空間を飛行する方法を「ソーラー・セイル」と呼 んでいて、もう100年以上も前からあのツィオルコフスキーなどが考えて いたのだが、それがこのたびやっと実現する運びとなった。どうしてそん なに長い間実現しなかったのかと言うと、帆を作るための決め手になる、 軽くて丈夫な材料がなかったからである。惑星間空間を飛ぶので、強い放 射線や紫外線に耐えることができ、マイナス300度ぐらいからプラス300度 ぐらいまでの極端な温度変化があっても平気なものでなくてはいけない。

 そのような材料が最近になって遂に完成したのである。「イカロス」の 場合は、「ポリイミド」という高分子のフィルムにアルミニウムを蒸着し た膜を使う。厚さがわずか100分の1 mm以下というから驚きである。何し ろこのフィルムを畳1枚分に拡げても、20 gより軽いのだから。

 「イカロス」は重くなるといけないので、帆には枠をつけない。だから 拡げる方法をいろいろ工夫しテストしてみた。その結果、2004年には、探 査機を回転させて生じる遠心力を利用して帆を拡げる方法を観測ロケット S-310で試し、見事に成功したのである(図6)。

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 「イカロス」は、帆の有効性を確かめるのが目的なので、観測機器は積 んでいない。ただし、太陽光の反射の仕方を変えることができる液晶を搭 載し、帆の場所によって反射条件を変え、受ける力を制御して舵を切って 進む練習もする(図7)。

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 帆を拡げて推進するとはいっても、「風のまにまに」呑気に太陽系を飛 ぶだけでは、目的地に行き着くことができない。好きな方向に自在に進め るよう制御する必要があるからである。

 それから、帆の真ん中に薄い太陽電池を載せてある。将来は、帆が受け る太陽光の力と、イオンエンジンを組み合わせて、直径50 mの帆をいっぱ いに拡げて、木星やトロヤ群小惑星を目指す(図8)。JAXAのソーラー・ セイルのグループは、2010年代にはそのミッションをやり遂げたいと闘志 を燃やしている。

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 実は、アメリカの民間団体「惑星協会The Planetary Society(TPS)」 が2001年と2005年に、地球周回軌道を回るソーラー・セイルの打上げを試 みている。しかし、いずれもロシアのロケットがうまく打ち上がらず、あ えなく失敗に終わった。したがって、TPSの愛すべき人たちには申し訳な いが、「イカロス」が成功すれば「人類史上初の宇宙ヨット」となる。こ の野心的なソーラー・セイルを世界中の科学者が熱い思いで見つめている。 どこまでミッションが行けるか、楽しみに待つことにしよう(図9)。

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(YM)

■宇宙茫茫ヘッドライン

【091026-01】 ESAの彗星探査機Rosetta、11/13に3回目の地球のスウィングバイ
【091026-02】 NASA、Ares I-Xの打上げを10/27にAtlantisの打上げを11/16に予定
【091026-03】 JAXA、金星探査機「PLANET-C」の名称を「あかつき」と決定
【091026-04】 ロシア、10月に予定のGlonassの打上げを2月に延期
【091026-05】 NASA、火星ローバSpiritの砂地脱出のための準備最終段階に
【091026-06】 韓国とロシア、KSLV-1不具合の合同調査委員会開催
【091026-07】 アメリア・イヤハートのスカーフ、彼女の専属カメラマンの孫の手で宇宙に
【091026-08】 SpaceX、Falcon 9の1段の領収燃焼試験を終了
【091026-09】 三菱電機、米国のOrbitalの宇宙貨物輸送機に近傍接近システムを供給
【091026-10】 Augustine委員会、最終報告書を公表
【091026-11】 インド宇宙研究機関の総裁交替…Nair → Radhakrishnan
【091026-12】 ESAとロシア、火星往復飛行想定の520日間長期閉鎖実験の被験者募集
【091026-13】 NASA、故人の資産活用で宇宙での定住に関する研究に資金助成
【091026-14】 Starfighters、KSCのシャトル滑走路からF-104でサブオービタル飛行訓練
【091026-15】 JAXAのウェブサイト内の注目記事へのリンク

【091026-01】
ESAの彗星探査機Rosetta、11/13に3回目の地球のスウィングバイ

 10月20日、ESAはESAの彗星探査機Rosettaの3回目の地球のスウィングバ イが予定通り11月13日に行われることを明らかにした。スウィングバイに 向けての軌道の微修正は10月22日に行うとしている。(注:26日現在、そ の結果の公表は無い。)

 Rosettaは2004年3月2日に打ち上げられ3回の地球のスウィングバイと1 回の火星でのスウィングバイをして10年掛けて彗星67/P Churyumov-Gera- simenkoへ到達の計画となっている。

 11月13日にRosettaが地球を通り過ぎる時の相対速度は秒速13.3kmで、 地球の重力の助けにより太陽に対する相対速度を秒速3.6km増加し、最終 目標に向かう軌道に入る予定となっている。

 地球に近付いて来るRosettaから地球及び月を観測することが計画され ており、幾つかの観測機器の電源がスウィングバイの1週間前には入れら れることとなっている。

 2010年6月に小惑星“21 Lutetia”の側を通過して観測を行った後、20 14年5月に67/P Churyumov-Gerasimenkoを周回する軌道に入り、彗星の核 に質量100kgの小型の着陸機を降ろし、その後2年間は彗星の周りを回りな がら一緒に太陽に向かって行くことが計画されている。

 http://www.esa.int/esaCP/SEMJNZYRA0G_index_0.html

【091026-02】
NASA、Ares I-Xの打上げを10/27にAtlantisの打上げを11/16に予定

 10月19日、NASAはSTS-129ミッションのAtlantisの打上げターゲット日 を従来の11月12日から11月16日に遅らせる決定を下したことを明らかにし た。

 これは10月27日に予定している次期有人打上げロケットAres Iの試験機 Ares I-Xの打ち上げ機会を29日までの3日間確保するための処置であると されている。

 Ares I-Xは、10月20日に組立棟から射点に移動することとなっており、 その後の打上げ準備作業に当たる地上作業員が、従来の予定では10月19日 の週に行われる予定であったAtlantisのカウントダウン・リハーサルにも 必要とされることから、そのままではAres I-Xの27日の打上げが難しくな るとの判断が行われ、Atlantisのカウントダウン・リハーサルを11月3日 に変更することとし、連動してその打上げターゲット日も遅らせることに なったもの。

 http://www.nasa.gov/home/hqnews/2009/oct/HQ_09-246_STS-129_launch_date.html

 20日にはAres I-Xの射点への移動が予定通り完了した。移動は01:39に 始まり、約6.8km離れた射点への到着は07:45で、射点への固定は09:17 に終了した。

 23日には飛行試験準備審査(Flight Test Readiness Review)が行われ、 打上げを10月27日に行うことが承認された。

       左の写真は射点39AのAtlantis(手前)と39BのAres I-X
 右の写真は逆アングル

 http://www.nasa.gov/home/hqnews/2009/oct/HQ_09-247_Ares-I-X_rollout.html

 http://www.space.com/missionlaunches/091023-ares-1x-launch-update.html

【091026-03】
JAXA、金星探査機「PLANET-C」の名称を「あかつき」と決定

 10月23日、JAXAは2010年度に打ち上げる予定の金星探査機「PLANET-C」 の名称を「あかつき」としたことを明らかにした。

 名称は公募ではなく、PLANET-Cの開発に携わるプロジェクトチームで の検討により決定されたもので、“明けの明星”と称される金星が空に 輝く日の出直前の空が白み始める頃をさす言葉である「あかつき(暁)」 としたもの。

 また、JAXAでは10月23日から12月25日の間に、「あかつき」に取り付 けるカウンターウェイト用の80mm×120mmのアルミプレートに微細な文字 で印刷するメッセージ等の募集キャンペーンを行うことを明らかにした。 このキャンペーンは世界天文年2009日本委員会の協力を得て行われる。

 申込は個人単位(名前10文字以内、メッセージ20文字以内)と100人程度 以上の団体単位(A4サイズの用紙1枚)に区別されており、個人はインター ネット、団体は郵送での申し込みを受け付けるとしている。

 http://www.jaxa.jp/press/2009/10/20091023_akatsuki_j.html

 http://www.jaxa.jp/press/2009/10/20091023_akatsuki_campaign_j.html

【091026-04】
ロシア、10月に予定のGlonassの打上げを2月に延期

 10月22日、ロシア連邦宇宙庁は、10月29日に予定していた測位衛星シス テムを構成する3基のGlonassの打上げを2010年2月まで延期することを明 らかにした。

 延期の理由は、衛星の信頼性を高めるための作業が必要となったためと しているが、具体的な作業の内容は明らかにされていない。また、ロシア では12月にも同じく3基のGlonassを打ち上げる予定とされているが、その 打上げについては触れられていない。

 ロシアでは、2009年中に、全世界をカバーするのに必要とされている24 基の衛星を軌道上に配置することを目指していたが、目標は達成されない ことになった。

 http://en.rian.ru/russia/20091022/156554408.html

【091026-05】(関連記事:【090921-05】)
NASA、火星ローバSpiritの砂地脱出のための準備最終段階に

 10月19日、NASAのジェット推進研究所(JPL)は、5月以来火星の柔らかい 砂に捉えられているローバSpiritの救出手段の検討を行って来たが、10月 12日からの5日間に地上での試験を遠隔監視の下で行って、コマンドの最 終確認を行ったことを明らかにした。

 これまでの試験はJPL内に設けた砂場の近くで試験用のローバの動きを 目で確認しながら行っていたが、漸く、どの様に動かしたら良いかの基本 の詰めが終わり、実際に送るコマンドの準備に入っており、地上から火星 でのSpiritの実際の動きを確認しながらコマンドを送ることを想定して、 直接目で見るのではなく、遠隔で画像とデータ通信によって状況を把握し ながらコマンドの検証を行うこととしたもの。

 10月末には今回の試験結果の独立のパネルでの評価が行われ、その結果 を受けて、評価が終わってから2週間以内には実際にコマンドを送ること になるとしている。

 http://www.jpl.nasa.gov/news/news.cfm?release=2009-153

【091026-06】(関連記事:【090831-01】)
韓国とロシア、KSLV-1不具合の合同調査委員会開催

 10月19日、韓国の教育科学技術部は、8月25日に衛星の軌道投入に失敗 した韓国初の人工衛星打上げ用ロケット“羅老”(KSLV-1)に関してのロシ ア、韓国合同の不具合調査委員会の会合が10月29日にモスクワで開催され ることを明らかにした。

 軌道投入失敗直後の報道では、開頭分離するはずの衛星フェアリングの 半殻が分離しなかったことにより必要な速度に達しなかったことが判明し たとされていることから、何故分離しなかったのかが論点となっている。

 このロケットの1段はロシア製で、韓国ではこの打上げを“部分的な成 功”と評しているが、ロシアは1段が正常に機能したので、“成功”と評 したいとしており、技術的な原因追及の他に、打上げ全体の評価について の調整も行われることと思われる。

 なお、両国は現在、不具合調査と並行して、次の打上げを2010年5月に 行うこととして準備を進めている。

 http://news.xinhuanet.com/english/2009-10/19/content_12269040.htm

【091026-07】
アメリア・イヤハートのスカーフ、彼女の専属カメラマンの孫の手で宇宙に

 10月23日から全米で1930年前後に活躍した米国の女性飛行士アメリア・ イヤハート(Amelia Earhart)を描いた映画“Amelia”が公開される、とい うその時に合わせるかの様に、彼女の愛用していたスカーフが宇宙に飛び 立つことが明らかにされた。

 彼女は、女性として初めての大西洋単独横断飛行などを達成したが、19 37年に、世界一周飛行に挑戦中にニューギニアから太平洋にあるアメリカ 領のハウランド島(Howland Island:北緯0度48分、西経176度38分)を目 指して離陸した後に消息を絶った。

 スカーフはSTS-129ミッションに搭乗する米国の宇宙飛行士Randy Bre- snikが、オクラホマシティのMuseum of Woman Pilotsから預かって行くこ とになっているが、実はRandyの祖父Albert Bresnikは、1932年にアメリ アと契約をした彼女が写真撮影を認めた唯一のカメラマンであったという 因縁がある。

 Randy Bresnikは、11日間のISSへのミッションの最中に、宇宙からアメ リアが目指していたハウランド島の写真を撮ることを目指している。

 http://www.collectspace.com/news/news-102109a.html

【091026-08】(関連記事:【091012-10】)
SpaceX、Falcon 9の1段の領収燃焼試験を終了

 10月21日、Space Exploration Technologies (SpaceX)は、同社が開発 している大型の打上げロケットFalcon 9の1段の領収燃焼試験が終了した ことを明らかにした。

 Falcon 9の1段はSpaceXが開発したMerlinエンジンを9基クラスタしたも ので、燃焼試験は10月12日に10秒間、16日に30秒間行われ、問題無く終了 した。

 これにより、先に行われた構造体の試験と併せて、Falcon 9としての領 収試験が完了したことになり、機体はいよいよ11月には初飛行に向けてケ ープカナベラルの射場に運び込まれることとなる。

 http://www.spacex.com/press.php?page=20091021

【091026-09】
三菱電機、米国のOrbitalの宇宙貨物輸送機に近傍接近システムを供給

 10月22日、三菱電機株式会社は、米国のOrbital Sciences Corporation から、ISSに近付く宇宙貨物輸送機で使用される近傍接近システム(Proxi- mity Link System:PLS)を受注したことを明らかにした。

 OrbitalがNASAとの間でCommercial Orbital Transportation Services (COTS)に関する Space Act Agreementを結んで開発しているISSへの貨物 輸送機“Cygnus”にPLSを搭載することが決まったもので、開発段階のCO- TS Demonstration飛行用の1機と、その後のCommercial Resupply Servi- ces (CRS)契約で予定されている8機の合計9機分を2010年から2014年に順 次納入する。契約総額は6,600万ドルとなっている。

 PLSは日本のHTV用に開発されたもので、宇宙貨物輸送機がISSに近付く 際にISSの「きぼう」日本実験棟に搭載されているISSの軌道位置・速度情 報を宇宙貨物輸送機へ提供する通信装置である近傍通信システム(Proxi- mity Communication System:PROX)と情報のやりとりをして、宇宙貨物輸 送機を安全にISSの近くまで誘導する機能を有している。

 http://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2009/1022-a.htm

【091026-10】(関連記事:【090914-15】)
Augustine委員会、最終報告書を公表

 10月22日、オバマ大統領の指示により米国の有人宇宙飛行計画の評価・ 見直しを行ってきたReview of United States Human Space Flight Plans Committee (通称Augustine委員会)は最終報告書を公表した。

 http://www.nasa.gov/pdf/396093main_HSF_Cmte_FinalReport.pdf

 報告の内容としては9月に公表されたサマリーレポートからの変更点は 無く、今後の米国の有人飛行計画の進め方についての提言を行うのではな く、考え得るオプションを示すのが目的であるという考え方にも変わりは ない。

 しかしながら、報告書発表の記者会見においてAugustine委員長は、委 員会の最初の結論は現在の米国の有人宇宙開発はスコープと予算のミスマ ッチが見られるということで、そのことから安全性の確保に大きな関心を 持っていると語っている。

 折しも、次期有人打上げロケットAres Iの試験機が打ち上げられようと している時ではあるが、委員会としてはAres Iが完成したとしても、その 時期がNASAが目標としている2015年から少なくとも2年は遅れ、ISSにクル ーを運ぶという目的には時期を失するとの見方をしている。更に、ISSの 運用を延長した場合には、そちらの方に予算を取られてAres Iの完成は更 に2年は遅れるとしている。

 しかし、あくまでも提言はしないとの立場を貫き、Ares Iの開発を中止 すべきとはしておらず、近付いているAres I-Xの打上げも、そこから得ら れる成果はロケットが何になろうと役立つものだとの観点から有用なもの であるとしている。

 また、ISSが周回している様な低軌道(Low Earth Orbit:LEO)を超える、 月、火星、小惑星への有人ミッションについては毎年30億ドルの追加予算 無くしては達成不可能なことだとしている。

 委員会では、これまた提言は行っていないが、LEOへの人員の打上げ手 段は民間で開発するロケットに任せることとし、NASAとしては月或いはそ れ以遠に向かう有人ミッション用の大型のロケット(Heavy Launch Vehi- cle:HLV)の開発を行うというシナリオが好ましいと考え方をしている様 に見受けられる。

 http://www.spaceflightnow.com/news/n0910/22augustine/

【091026-11】
インド宇宙研究機関の総裁交替…Nair → Radhakrishnan

 10月24日、インド宇宙研究機関(Indian Space Research Organisation :ISRO)は、引退するG Madhavan Nair総裁の後任に、ISRO最大の施設Vi- kram Sarabhai Space Centre (VSSC)の所長のK Radhakrishnan(60)を充て ることを明らかにした。交替は10月31日付けとなる。

 Radhakrishnanは、インドのケララ大学(Kerala Univ.)の電気工学科の 出身で1971年にISROでのキャリアをVSSCで電子技術者としてスタートして いる。

 http://ibnlive.in.com/news/k-radhakrishnan-named-new-isro-chief/103886-11.html?from=tn

【091026-12】(関連記事:【090720-09】)
ESAとロシア、火星往復飛行想定の520日間長期閉鎖実験の被験者募集

 10月20日、ESAは、ロシアの生物医学問題研究所(Institute of Biome- dical Problems:IBMP)と共同で進めている“Mars500”(火星への往復飛 行を地上で模擬する実験)の本番となる520日間の長期閉鎖実験の被験者を 募集していることを明らかにした。10月13日付けで募集の案内が公にされ ており、応募期限は11月5日となっている。

 この実験は、モスクワ郊外のIBMPに置かれた200uの模擬宇宙船の中で 外部とは通信だけが可能な状態で、6人の被験者が火星への往復飛行を地 上で模擬するもので、往路250日・火星滞在30日・復路240日の火星探査に 要するのと同じ合計520日を過ごすというもの。

 ESAは6人の中の2人を募集している。並行してロシアでも4人の募集が行 われており、選定された被験者は、2010年初めからの訓練を経て、5月か ら実験に入ることになる。

 応募資格は、健康であること、高いモチベーションを有していること、 年齢20歳〜50歳、身長185cm以下、英語とロシア語の少なくともどちらか に堪能で他の方は日常のやりとりに不自由がないこと、薬学・生物学・生 命維持システム工学・コンピュータ工学・電気工学・機械工学の何れかの バックグラウンドと実務経験を有すること等とされている。

 募集要項では、被験者には相応の報酬が支払われるとしているが具体的 な金額は提示されていない。2009年の7月に終了した、520日間の実験の前 段階として行われた105日間の実験では、1人当たり15,500ユーロ(約20,00 0ドル)が支払われている。

 http:/www.esa.int/esaCP/SEM0PZYRA0G_index_0.html

 http://en.rian.ru/science/20091026/156596769.html

【091026-13】
NASA、故人の資産活用で宇宙での定住に関する研究に資金助成

 10月21日、NASAは2008年12月から募集していた人類が宇宙に定住するた めに必要な技術に関した研究開発に対する助成金の支給先を決定したこと を明らかにした。

 “NASA Ralph Steckler/Space Grant Space Colonization Research and Technology Development Opportunity”の名の下に、“National Space Grant College and Fellowship Program”での全米50州とワシントンDC及 びプエルトリコの計52のコンソーシアの代表となっている大学を対象に研 究課題の提案を募ったもの。

 研究の対象は、人類が宇宙に定住するために必要とされる技術の開発、 月の環境のより深い理解の取得、宇宙定住のための基本インフラの開発等 とされている。

 今回、寄せられた35件の中から18件(2件ずつの大学が2校あるため全部 で16校の大学)の課題を選定し、フェーズ1(フィージビリティスタディ)の ために最高で1件当たり7万ドルの資金助成を行う。フェーズ1の期間は9ヶ 月間とされている。

 引き続いて4件に絞って2年間のフェーズ2にそれぞれ最高で25万ドル、 更に2件に絞って同じく2年間のフェーズ3にそれぞれ最高で27万5,000ドル の資金の助成が計画されている。フェーズ3では、フェーズ2の成果が正式 にNASAのプログラム或いはプロジェクトに組み込まれることになる。

 このSteckler/Space Grant Opportunityは、生涯を通じて人類の宇宙で の定住に興味を持ち続けていた南カリフォルニア出身で映画の助監督及び 写真家であった故Ralph StecklerがNASAに遺した土地を基にした基金を、 彼の遺志に沿って生かしたものである。

 http://www.nasa.gov/home/hqnews/2009/oct/HQ_09-244_Edu_Steckler_Grants.html

【091026-14】
Starfighters、KSCのシャトル滑走路からF-104でサブオービタル飛行訓練

 10月22日、Space Floridaは、NASAとStarfighters, Inc.との間で、ケ ネディ宇宙センタ(KSC)のスペースシャトル着陸用の滑走路“Shuttle La- nding Facility (SLF)”の民間利用に関するSpace Act Agreementが締結 されたことを明らかにした。

   Starfightersでは所有する1950年代開発された米空軍の戦闘機“F-104 Starfighters”をロケットによるサブオービタル飛行と同じ様な飛ばせ方 をして、ロケット搭乗前の訓練を行ったり、商用のロケットを開発しよう という企業の開発試験の用に供したりすることを計画している。

 Space Floridaは、2007年から始めたStarfightersとの協議の結果、カ リフォルニア州がSLFの側に保有している格納庫をStarfightersが使用す ることに合意しており、現在4機のF-104が格納されている。Starfighte- rsでは近々5機増やすことを計画している。

 http://www.spaceflorida.gov/news/10_22_09.php

【091026-15】
JAXAのウェブサイト内の注目記事へのリンク

10/19シーズンレポート2009年7月−9月
10/19超伝導サブミリ波リム放射サウンダ(SMILES)の初観測データ取得について
10/20ISS・きぼうウィークリーニュース第358号
10/20日本経済新聞社主催「第19回 日経地球環境技術賞」の受賞について
10/20K&Cモザイク 500mブラウズモザイクプロダクト
10/20超高速インターネット衛星「きずな」(WINDS)による深海探査機海中映像の伝送実験の実施結果について
10/22遥かなる月へ2009〜月周回衛星「かぐや」の軌跡〜
10/21ASTRO-H衛星の状況について
10/22APRSAF-16ポスター・コンテスト日本代表作品選出について
10/2311月からの「きぼう」での実験CERISEの紹介ページを開設しました
10/23地球が見える:長崎市と軍艦島:近世の窓口と近代化を支えた石炭島
 イベント
10/29みんなで利用しよう!宇宙の目 「第41回JAXAタウンミーティング」 in 奈良
11/5 「テクノフェア2009 in 金沢」でJAXA保有特許技術を紹介
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