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YMコラム
11月24日「必見の皆既月食迫る!」

 今年は皆既月食の当たり年で、さる6月16日にも皆既月食がありました。この時には全国的に曇ったところが多く、ちょっと冴えなかった記憶がありますね。でも中には割とばっちり観測した人もいたようで(図1)、東日本大震災の被災地の一部では、薄雲を通して部分月食を見た人もいました(図2)。その皆既月食が今年はもう一度、12月10日の深夜に見られます。そして今回の皆既月食には、どうしても見た方がいい状況がいくつかあります。


(図1)2011年6月16日午前4時42分、那覇市で見た皆既月食(撮影:田端研二さん)

(図2)相馬市で見た部分日食(2011年6月)

1. 12月10日の皆既月食をどうしても見たいわけ

 月食は太陽・地球・月がこの順序で一直線に並んだ時に起きるわけですが、太陽光が地球の大気で屈折して月に届くので、オレンジ色や赤銅色の月が観測されます。今回どうしても見ておきたいわけは、

@ 食の最大が夜の11時半頃なので、日本全国で月食の全経過を最高の条件で観測できる。
A と言っても「夜が遅いから子どもはなあ」と思われるでしょうが、実は土曜日です。
B 月の位置が高いので、南によほど高い建物がない限り、非常に見えやすい。
C 月食が起きるのは満月なので、普通ならば星が見えにくいが、皆既の時には周囲の星が
  見えるようになる。とりわけ今回は周囲に、オリオン座、おおいぬ座、こいぬ座、オリオン座、
  ふたご座、ぎょしゃ座、おうし座などの1等星がウヨウヨあるので、楽しい。
D 12月10日の次の月食は2012年6月4日の部分月食で、皆既月食は3年後の2014年10月8日に
  なってしまうので、今回見ておきたい。
E 今のところ大きな火山爆発がないので、美しい皆既になる可能性が高い。

 ただし、注意事項が一つあります。実は月の位置がかなり高いということは、長時間見ていると首が痛くなるので、ブルーシートなどを用意して、寝転がって観測する方がいいと思います。また、折角美しい月食を見るのですから、天体望遠鏡か、せめて双眼鏡を準備しておくと一層楽しめると思いますね。

 今日は、その皆既月食を見るための手引を一通りお話ししましょう。こういう方面の話は初めてという人を対象に書きますので、そうでない人は適当に読み飛ばしてください。なお画像のほとんどは、国立天文台のホームページから引用させていただきました。

2.(皆既)月食の起こるわけ

 まず図3を御覧ください。太陽の光は地球によってさえぎられて、宇宙空間に影ができています。その影には、太陽光の一部だけがさえぎられている「半影」と、太陽光の「ほとんど」がさえぎられた「本影」の2種類があります。


(図3)月食の仕組み
 さて、この地球の影の中を月が通ると、月を照らす太陽の光がさえぎられているわけですから、地球から見た月が欠けて見える(月食)はずですね。だから、「月食」は、太陽・地球・月がこの順序で直線状に並んだ時、つまり満月の時に起きるというのは、納得されることでしょう。しかしでは満月の時には必ず月食になるかというと、そうでもありません。それは、月が地球を回る軌道が、地球の公転軌道と傾いているからです。たとえばこの3天体が上(太陽の北極)から見て一直線上にあっても、横から見て図4のような位置にある場合は、月は影に入らないでしょうからね。だから、月食というのは毎月起きるわけではないのですね。


(図4)月食にならない満月もある例
 もう一度図3を見てください。上記の月が地球の半影に入るのが「半影食」、地球の本影に入ると「本影食」ですね。「本影」の説明で「ほとんど」と書いたのは、地球の周囲に大気があるので、太陽光のほんの一部が、地球の大気で屈折して本影の中に流れ込んでいるからです。この時、青い光は大気中のチリ(塵)などで散乱してしまうのですが、赤い光は散乱しづらいので、大気がレンズの役割をし、屈折して本影の中に入り込むわけですね。このかすかな光が皆既中の月面を照らすので、月が赤黒く見えます(図5)。


(図5)皆既月食で月が隠れない理由

 とは言っても、その時によって、「赤い色」にもいろいろあるようです。たとえばその時に火山の爆発などが重なると、大気中の塵の量が増えるので、赤い光も月まで届かず黒っぽい月になるし、大気中に塵ければ明るいオレンジ色の月になります。今回の月食では、皆既中の月はどんな色になりますかね。ぜひ観察して、写真と一緒にご報告ください。

3.当日どんな順序で月食が起きるか?

半影食の開始2011年12月10日20時31.8分
部分食の開始21時45.4分
皆既の開始23時05.7分
食の最大23時31.8分
皆既の終了23時58.0分
部分食の終了11日01時18.3分
半影食の終了02時31.7分

 代表的な例として、東京から見る今回の月食のタイムシーケンスが上表のようになっています(参考までに図6)。


(図6)皆既月食当日の写真例

【半影食の開始】

 12月10日の20時32分、いよいよ地球の半影に月が入ります。でも月はまだ明るくて、肉眼では月食が起きているようには見えないに違いありません。

【部分食の開始】

 月が地球の本影に入るのは21時45分です。ただしまだ本影の端はぼんやりしていますね。もう東京から見上げる月は68度もの高さです。ブルーシートは要りますね。
月は左から欠け始め、22時22分に半分欠けた状態になります。月はやや黒っぽい感じに。22時37分、月の70%が影に入り、ほのかに赤っぽくなりながら、右下の方だけが光る形になっていきます。
22時55分、90%が欠けます。欠けた部分が赤銅色に、わずかに光っている右下側が明るい。皆既まであと10分です。目にも鮮やかな月の姿を楽しみましょう。

【皆既】

 23時06分、皆既の開始。食の最大になる23時31分には、東京での月の高さが77度。ほとんど真上に感じますね。しつこいようですが、ブルーシートは必須です。皆既の終わりは23時58分。皆既が続いているのは、50分間ちょっとですね。

【2度目の部分食】

 月は左下のあたりから光を取り戻し始めます。少しずつ赤銅色は失われて行き、12月11日になった午前0時27分に70%欠けた状態、0時43分には50%、そして1時18分に部分食は終了します。この時点で東京での高度は64度です。

【2度目の半影食】

 まだ半影月食はつづいていますが、肉眼では月の欠けていることは気づかないと思います。一応半影月食の終了を言えば、午前2時32分です。

4.念のため

 月食は、日食と違って、始まる時刻とか終わる時刻などは、日本の場所による違いはありません。高さなどがほんの少し異なるだけです。気になるような違いはありませんから、安心して、赤銅色と明るく輝いている月の光のコントラストを、十分に楽しんでいただくといいでしょう。最後に、ブルーシートと双眼鏡をくれぐれもお忘れなく。もう一つ、宿題を出しておきましょう。いつも月を見ていると、欠けているところ付近のクレーターがくっきりと美しく見える時がありますが、月食のときにどのように見えるか、注意してみてください。いずれどうしてそうなったかをお話しすることにしましょう。ともかく晴れるといいですね。

(YM)

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