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6月7日「金星の日面通過」

 6月6日。みなさん、太陽面のこちら側を金星が通過するのを見ましたか? ここ相模原では、朝から全天曇っていて、見るのはあきらめていました。ところが、13時ちょっと前に会議を終えて外へ出たら、雲から切れ切れに太陽がのぞいたり隠れたりしているではありませんか。急いで日食グラスを取りに帰って、KU-MAの運営会議のメンバーと一緒に、時々姿を現す太陽面に、はっきりと金星の黒い影を確認しました。

 この日の金星の動きは、地球の自転を考慮しないと図1のようになります。金星の動きを30分ごとにプロットしたものです。金星は北東やや北寄りから太陽面に進入し、北西やや西寄りへ脱出します。実際に地上から見ると、図2のように金星が動いて行きました。その動きは、図3のように見事に追いかけられています。


(図1)太陽面上の金星の動き(地球の自転を無視)


(図2)地上から見る場合の金星の動き


(図3)実際の金星の動き(富山市天文台)

 世界各地から寄せられている金星の日面通過の写真を楽しんでいただきましょうか(図4〜図16)。図11のタージ・マハールの塔と鳥の姿が印象的ですね。図16で太陽に影を作っているのは、ニューメキシコのキャベゾン・ピークという山だそうです。滅びた巨人の頭であるという伝説が語り継がれており、Native Americansの創世神話で大変重要な役割を果たした山だと聞いています。


(図4)オデッサ(ウクライナ)


(図5)オハイオ(アメリカ)


(図6)カリフォルニア(アメリカ)


(図7)カンサスシティ(アメリカ)


(図8)シドニー(オーストラリア)


(図9)スペイン


(図10)スペイン


(図11)タージ・マハール(インド)


(図12)フロリダ(アメリカ)


(図13)マレーシア


(図14)リヤド(サウディアラビア)


(図15)香港(中国)


(図16)ニューメキシコ(アメリカ)

 注目すべきは金星が太陽面にギリギリ触れる接触の瞬間ですね(図17)。金星が太陽面に入りきったとき(第2接触)と再び太陽面に接したとき(第3接触)には、太陽の縁と金星がつながったように見える「ブラックドロップ」と呼ばれる現象が見られることがあります。このブラックドロップは、むかしは金星の大気によって引き起こされると思われていたのですが、今では望遠鏡の収差などいくつかの説が出ていて、まだ決着していないと聞いています。図18は、今回の日面通過のブラックドロップをカリフォルニアでとらえた劇的写真です。


(図17)接触の瞬間


(図18)カリフォルニアでとらえたブラックドロップ

 ところで、次にこの現象が起きるのは105年後の2117年です。「よほど飛躍的な医学の進歩でもない限り、私たちほぼ全員にとってこれが最後のチャンス」でしょう。言わずもがなですが、金星の日面通過(太陽面通過)は、太陽と金星と地球が一直線に並んだ時に観測されるわけで、基本的には月が太陽を覆い隠す日食と同様の現象ですね。月は金星よりも地球に近いので、日食では太陽がほぼ完全に覆い隠されますが、金星は月よりずっと大きいものの、地球からの距離が離れているため小さな黒い点のように見え、太陽面の約3%を覆うにすぎません。

 この現象が前回観測されたのは2004年です。その前は1882年でした。1769年には、あのジェームズ・クック船長が南太平洋のタヒチに観測所を設け、金星に関するデータを収集したことは有名ですね。以来この場所は“Point Venus”と呼ばれるようになりました(図19〜21)。


(図19)クックの描いたタヒチ(ポイント・ビーナスの字も見える)


(図20)ポイント・ビーナス


(図21)クックは2回目の航海でポイント・ビーナスに立ち寄った(画:William Hodges)

 まあたとえ一瞬でも、私は見ることができて幸せでした。私は写真撮影はできませんでしたが、名護の人が撮ったものを図22で見てください。なお、日本の衛星「ひので」から見た映像も、以下で楽しんでくださいね。


(図22)名護

http://hinode.nao.ac.jp/news/120606VenusTransit/

(YM)

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