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YMコラム
8月17日「ISSの利用について」

 ISS(国際宇宙ステーション)の日本実験棟「きぼう」で、墨流しその他の芸術方面の利用が行われていることをご存知でしょうか。かねてから、微小重力環境を活用した材料関係や生物学・医学関係などの実験が実施されてきました。ただしこれが一般の人たちには理解しづらい実験だったこともあって、専門の人たちにはともかくとして、世間的には割と不人気だったのですね。まあ普通は科学方面の実験は分かりにくいことが多いのでしょうが、それにしても、せっかく宇宙に立派な施設を建設したのだから、何かいかにもみんなが耳目をひくような実験や研究をしてほしいという願いが上がって来ることは、ごく自然なことだったのでしょう。

 でも、そんな実験は世界的にそれほど報告されていないのです。だからISSの意義に関しては、地上とは異なる実験環境を提供したことよりも、たくさんの国が協力をして一つの平和的な事業を推進することの素晴らしさの方に目を向けようとする向きが多かったようです。それにしても、金がかかる大事業というだけでは、今一つその歴史的な意味が掴めないでいたところから、いくつかの国から、「十数ヵ国が協力しているから、たとえばその国々から宇宙飛行士が時々誕生するなどの明るいニュースはあっても、本当に世界の人々のために寄与できるような仕事を見つけないと、真の意味で“国際”宇宙ステーションとして後世から評価されないのではないか」という意見もちょくちょく出るようになってきていました。

 日本はそんな情勢の中で、いち早く自然科学系以外の実験に緒をつけたのです。今のところは芸術系の実験ばかりをやって来たのですが、表1と表2を見ていただくと分かるように、だんだんとバラエティに富むものが現れてきています。無重力という環境、地上から離れた宇宙空間での環境を、単に物質的な科学分野に限定しないで、芸術表現などを通じて新たな驚きや感動を発見する「心」につながる実験の芽が、噴き出つつあるように感じています。




 20世紀において、東西対立という長い「対立」の時代を乗り越えたと思ったら、すぐにやってきたのは、再び一層激しい対立の時代でした。この星にひろがる不安と紛争、分極化という留まるところを知らない傾向に、一石を投じる可能性を、「宇宙」というスクリーンに求めようという動きは、私にはかなり時宜を得たもののように思えます。JAXAは、このような問題意識を持って、「ISSの文化・人文社会科学利用」というカテゴリーを立ち上げ、その第一弾として、比較的手をつけやすいと思えた芸術利用に踏み切ったわけです。一方で、人類の宇宙進出の意味を、人文学・社会科学の立場から検討・吟味する研究会を、本格的に開始しています。哲学、心理学、社会思想、法学などはもちろん、飛行士自身も加わった議論を、熱心に展開していますから、そのうちその成果を目に見える形で展開できるようになるでしょう。面白そうですね。その概要をそのうち詳しくご紹介します。

(YM)

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